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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

北欧モデルの「1億総活躍」への懸念

人口・少子化 アベノミクス

安倍政権が推進する「女性が輝く」や「1億総活躍」は、北欧諸国の国是である男女平等・男女共同参画そのものと言えます。雇用流動化や法人税率引き下げなどの新自由主義ネオリベラル)的経済政策と、北欧的リベラル社会政策のミックスが、アベノミクス第二ステージの本質のようです。

その北欧のリベラル思想信奉者の多くは、

  • 「夫が仕事・妻が家事を主に担当」のモデルは時代遅れで出生率低下の一因
  • 北欧の進んだ「夫婦が仕事と家事を等しく担当」モデルでは出生率も高くなる

と考えているようです。北欧モデルの導入は、労働力人口減少対策となるだけでなく、少子化対策にもなる一石二鳥の方策ということです。

しかしながら、ノルウェーの研究によると、子供が生まれる前は仕事と家事を等しく分担していた夫婦(cohabitationを含む)でも、子供が生まれると「夫が稼得の主担当・妻が家事育児の主担当」にシフトしています。それは自然なことであり、問題ではないと考える人が多数です。

Women accept incomplete equality - Department of Sociology and Human Geography

There is equality since both men and women work, but we see that men take on the main responsibility for providing for the family, while women take the greatest caring role, researcher Eirin Pedersen says.

Although women and men have the same rights in society, births create a shift in duties in the home, and it is women who make the adjustment to the new demands.

Most people see it as an absolutely necessary and natural adaption.

Most Norwegian women see changing their job as unproblematic.

「異色の男性ジェンダー論研究者」によればノルウェー社会も女が差別された社会になるのかもしれませんが、

toyokeizai.net

最終的に男性が「合格点」をもらえる家事・育児水準を考えてみようと思います。

「合格点」といっても、最終的には男女がほぼ半々やる、というのがあるべき姿なのは変わりません。女性は半分しかやらないと「家事をやらない」と言われ、男性は半分負担すれば「すばらしい!」と言われるのですから、ルール自体がおかしい、女性に不利なゲームであるのは間違いありません。男性は明らかに、水増しされて評価されています。その出発点におけるズレは決して忘れてほしくありません。

生物学的に考えれば、「子育て期には男が稼得・女が家事育児」は自然なことです。

労働の性的分業は、カルチャー・ユニヴァーサル、つまり人間社会に普遍的な慣習の一つである。

「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

このころ*1の人類の暮らしは、男性たちが食料採取に出かけ、女性は安全な場所で待ちながら子どもたちを育てる、という形式だったと考えられます。男性を保護者とし、特定の女性とその子どもたちが連合して家族を作りました。

ヒトの祖先のメスがしたことが、オスを育児に取り込むということだったのではないかと考えられる。自分の腹を満たすことしかしてこなかったオスに、食べ物の供給を手伝わせようというのだ。

この生物学的「自然」に逆らった社会を実現しようとすると、様々な歪みが生じることは避けられません。

出産した女が男並みに働く意欲が乏しいのが「自然」であるなら、企業や組織の上層は男が多くなるのが「自然」です。それを男女平等イデオロギーに基づいて男女をほぼ同数にすれば(クォータ制)、適材適所に反する上、男に対する逆差別になってしまいます。

totb.hatenablog.com

女は出産すると男と同じように働かなくなる傾向があるにもかかわらず、女に男と同じように働くことを求めれば、出産しなくなる女が増えることも予想されます(出産が男女分業を促す→男女分業しないためには出産しない)。男女共同参画出生率上昇にはつながらないどころか、むしろ低下させる恐れもあるわけです。

totb.hatenablog.com

男女の役割分担の問題が厄介なのは、体格や体力と同様、集団としては競争心や稼得労働意欲の面で男>女であっても、個々では男の上位集団に食い込める例外的な女もいることです(例:西太后、角田美代子)。その一例が自称ワーカホリックのYahoo!のCEOマリッサ・メイヤーです。

www.businessinsider.com

Mayer is a self-proclaimed workaholic — "I like to work," the then Google vice president who famously sleeps only a few hours a night and doesn't "really believe in burnout" said during a 2005 keynote talk at Stanford University — but some say loving work and not wanting to take time off aren't the only considerations for the CEO of a major company.

そのような女の特徴のヒントがスポーツにあります。

スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?: アスリートの科学

スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?: アスリートの科学

オリンピック選手について調べた結果、ある種の競技の女子選手に重要な形質が認められた。他の女性のように腰回りが大きくならないのだ。

一部の女子選手が持つ強みは、低い体脂肪率や狭い腰幅という、どちらかというと男性に特有な形質だということになる。

つまり、「女性が輝く」のモデルにされているようなスーパーウーマンは、男に特有な形質を持って生まれた例外的な女である可能性が高いということです。

吉田兼好は『徒然草』で「友にするのに不適当な人」の一つに「病なく、身強き人」を挙げていましたが、シェリル・サンドバーグマリッサ・メイヤーのような女としては例外的に「強き人」は、普通の女のロールモデルとしては不適当でしょう。普通の人が「強き人」の真似をしても潰れるだけです。

なお、スーパーウーマンの家事・育児を代行しているのは、多くの場合夫ではなく親かベビーシッターです。「輝く女」の陰にはそれを支える別の女の存在があります。海外では、その多くが低賃金で働く途上国出身者です。

totb.hatenablog.com

「1億総活躍」が、過大な負荷をかけられて潰される女と、逆差別されて潰される男を量産することにならないことを祈ります。*2 

結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

二人の認識が一致したのは、総合職に就いても、女は結婚相手に経済的に依存して、自分は「生活のためではなく、自己実現のための」仕事を目指す生き物だということであった。「女は真面目に働きたいなんて思ってませんよ。しんどい仕事は男にさせて、自分は上澄みを吸って生きていこうとするんですよ。結婚と仕事と、要するにいいとこどりですよ」と、彼女ははっきりとそう言い、私もその点に関しては全く同意見なのであった。

totb.hatenablog.com

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*1:[引用者注]アフリカで音声コミュニケーションを始めた頃。

*2:「強き人」たちが、自分たちの都合のいいように社会を改造しようとしているようにも見えます。そう言えば、吉田兼好は「欲深き人」も挙げていました。