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付利引き下げは金融緩和?

日本銀行が追加緩和として超過準備の付利を引き下げるとの予想が(黒田総裁が否定しているにもかかわらず)燻り続けています。

www.bloomberg.co.jp

みずほ総合研究所と三菱UFJ証券のエコノミストは、日銀による次回の追加緩和時には超過準備の付利が引き下げられると予想する。日銀での議論に詳しい複数の関係者が5月に語ったところでは、現行0.1%の付利の引き下げの選択肢は完全に議題から外れたわけではないが、検討はしていないとされる。黒田総裁はより最近になって、日銀ではさしあたり考えていないと話している。他方、日銀が欧州の一部中央銀行のようにマイナス金利を導入することもできると指摘するエコノミストもいる。 

なぜ付利の引き下げが金融緩和になるかと言うと、

www.zakzak.co.jp

銀行や信用金庫は家計や企業からの預金の増加分の大半を融資に回さず、国債購入に充てる。その国債を日銀に売り、日銀に持つ当座預金口座にそのまま預ける。日銀はこの当座預金に0・1%の金利を払う。

民間金融機関としては貸し出しに回さなくても、日銀口座にそのまま眠らせておいても、金利収入が入る。銀行員はわざわざドブ板を踏んでまで融資先を探す必要はない。椅子に座っているだけでもカネになるのだ。これほど楽なビジネスが他にあるだろうか。

日銀は民間向け融資を増やさない金融機関の当座預金の金利をゼロにするか、あるいは思い切って懲罰金利を徴収するくらいの政策に踏み切るべきなのだ。

という理屈です。リフレ派の教祖・クルーグマンも同じ考えです。

www.pbs.org

Paul Solman: And by raising the interest on excess reserves they’re actually paying banks to redeposit the money at the Fed as opposed to lending it out into the world and starting inflation.

Paul Krugman: That’s right.

しかし、イングランド銀行の説明にあるように、日銀当座預金(あるいは準備預金)は銀行間で貸し借りされるものであり、市中に転貸されるものではありません。

Money creation in the modern economy

A related misconception is that banks can lend out their reserves. Reserves can only be lent between banks, since consumers do not have access to reserves accounts at the Bank of England.

量的・質的金融緩和によって激増している日銀当座預金は、主に銀行が保有している国債と引き換えに供給されています。つまり、日銀当座預金は国債と同様、銀行の資産の一種ということです。

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日銀当座預金は既に銀行等の総資産の1割強を占めていますが、その金利を撤廃することは、銀行資産の1割強が金利収入を生まない「不良資産」と化すことを意味します。既に歴史的低水準にある銀行の利鞘をさらに圧縮することが実体経済を刺激する「金融緩和」になるというロジックは理解困難です。

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負の金利(懲罰金利)にすれば、日銀当座預金から現金への大規模シフトが発生するため、金融政策との整合性が取れなくなってしまいます。

If the central bank were to lower interest rates significantly below zero, banks could swap their bank reserves into currency, which would pay a higher interest rate (of zero, or slightly less after taking into account the costs of storing currency). Or put another way, the demand for central bank reserves would disappear, so the central bank could no longer influence the economy by changing the price of those reserves.

政策金利を負にすることは"foolish"との見方もあります。

How Low Can You Go? Negative Interest Rates and Investors’ Flight to Safety

Some analysts have argued that such examples suggest that central banks should consider setting negative policy rates, including negative rates on deposits held at the central bank. Such proposals are foolish for a number of reasons. […], negative central bank interest rates may be interpreted as a tax on banks—a tax that is highest during periods of quantitative easing (QE).

リフレ派の論客・安達誠司も付利撤廃とのマイナス金利には否定的です。

gendai.ismedia.jp

将来、追加緩和が行われるとしても、それは付利の引き下げ・撤廃ではないでしょう。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com