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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

アベノミクスの矢を外す「思想革命」

脇田成が「昔から細々と主張して」いた賃上げの必要性についての『ダイヤモンド』の記事が注目を集めているようです。

diamond.jp

特に重要なのがこの指摘です。

日本経済が長期停滞に陥り始めたのは、98年以降のことなのである。「失われた20年」と言われてからすでに久しいが、その起点は決して90年ではなく、実は98年からのことであったわけである。

グラフを見れば、日本経済の分水嶺バブル崩壊の1990~91年ではなく、金融危機の97~98年であったことがよく分かります。

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金融危機という「非常事態」が、企業が賃下げや雇用破壊に踏み切る切っ掛けになりました。その後の日本経済では、「賃金の上方硬直性」がニューノーマルになったわけです。

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嶋矢の「確信」はその通りなのですが、

その時々の政権が96年以降に繰り出してきた日本経済の構造改革政策が、日本経済の秩序をいわば「賃金の上がらない」構造へ改革し、体質化させてすでに久しく、その構造と体質が今や骨肉化して、今日に及んでいる事実と現実こそが日本経済の長期低迷の主因である、と確信している。

これに付け加えるなら、学者やマスコミが喧伝したアメリカ流の「株主重視経営」や「プロ経営者」も、「賃金の上がらない」構造への変化に貢献しています。

president.jp

gendai.ismedia.jp

diamond.jp

大東亜戦争の敗戦が日本人を「平和主義」に180度転向させたように、バブル崩壊とその帰結としての金融危機(経済敗戦?)は、「日本的経営は駄目/アメリカ的経営は素晴らしい」という思想革命をもたらしました。

しかし、 ケインズが『一般理論』で「既得権益よりも思想(idea)のほうが危険」と指摘したように、その思想革命は、多くの日本人にとっては危険極まりないものだったわけです。

…, it is ideas, not vested interests, which are dangerous for good or evil.

極論するなら、日本の労働者を外国人株主に搾取される「奴隷」へと変えたのが、これまでの「改革」です。

totb.hatenablog.com

この件に関しては、既に多くの過去記事で取り上げているので、そちらをお読みください。 

togetter.com

補足

『ダイヤモンド』の記事は、賃金が上がらない構造への変化が日本経済の長期低迷の主因であることを指摘するものであり、「消費税率引き上げの悪影響はなかった」「バブル崩壊金融危機までの日本経済は順調だった」と主張しているわけではありません。「消費税率引き上げがスルーされている→記事は無価値」などの批判はアベノミクスの矢と同様の的外れです。

totb.hatenablog.com 

totb.hatenablog.com

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