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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

少子化問題での政府批判は的外れ

人口・少子化 政治・歴史・社会

出生率が続き、日本の経済社会の将来が危うくなっていることについて、政府の無策を批判する声が上がっています。

これについて、石破地方創生担当大臣は次のように語っています。

新潮45 2015年 10 月号 [雑誌]

新潮45 2015年 10 月号 [雑誌]

私たち政治家には、人口、あるいは出生率の問題を語るとき、ともすれば「産めよ、殖やせよ」だ、いつか来た道、全体主義だ、などと言われるのではないか、という極端な恐れがあったように思うのです。でもそれは、「嫌われたくないから本当のことを言わない」という自己保身ではなかったか、という反省があります。

これはバブル崩壊後の不良債権問題と似ています。不良債権問題は、1992年8月には宮澤総理大臣と三重野日本銀行総裁が協議するなどしていたものの、世論の反対を恐れた政治家が及び腰となり、結局は1997年の金融危機を招いてしまいました。

www.jnpc.or.jp

宮沢さんは親しかった三重野康日銀総裁との協議の上、公的資金による金融機関の不良債権問題の早期解決を92年8月下旬、いったん決断したことは間違いない。しかし、野党やマスコミに加えて自民党の一部の国会議員が反対ののろしを上げると、決断が揺るぎ始めた。

少子化問題も「産む機械」や「女性手帳」への激しい批判などを見れば、政治家が「触らぬ神に祟りなし」と考えても仕方ありません。

少子化不良債権以上に政治家にとって難しいのは、本当のことを言うことがほとんど自殺行為であることです。

日本の合計出生率は1980年代半ばから急低下を始めましたが、これは男女雇用機会均等法と同じタイミングです。

www.asahi.com 

f:id:prof_nemuro:20151107225710g:plain

このタイミングの一致は偶然ではなく必然である可能性が大です。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

女の経済力向上が「結婚に恋愛を求める比重の増大→非婚化→少子化」につながることは、30年以上も前に指摘されていたことです。

ケミストリーオブラブ―恋愛と脳のメカニズム

ケミストリーオブラブ―恋愛と脳のメカニズム

われわれの社会では、教会とか大家族制度とかのような伝統的組織が人間生活の中で果す役割りがますます減少し、個人の自由(政治的、経済的、社会的)が絶えず増大し、女性に与えられる地位と尊重がしだいに増し、人々の大きな部分が経済的窮乏から比較的解放され自力で生計を支える力が増大したため、人々が恋愛による感情的満足を追求することが比較的自由になったのである。 

私の思うに、今日みられる事態は、伝統的な男女役割分担の少々のずれであり、それが人間関係に新しい緊張をもたらしつつある。すなわち、もし女性が今日まで男性がやっている職業志向の生活を追求するなら、何かを棄てないかぎり、誰が家事と育児をすることになろうか?

一部の人が選ぶ道は子どもをつくらないことである。もう一つの道は、金持ちならばだが、手伝いを雇うことである。(ある既婚の女医は、しばしばおそくまでかかる仕事と、息子を学校が終ったら迎えにゆかなければならないこととの板ばさみになり、途方にくれた時に「私には妻が必要だ」と叫んだ)。第三の道は、夫と妻が家事をもっと平等に分担することだが、これは結局は、男性が職業生活の遂行を求めかつ求められる仕方の、社会的修正を必要とするだろう。

日本よりも女の社会進出が進む一方で、日本よりも出生率が低い香港の現状は、まさにこの通りです。シンガポールや台湾でも事情は同じです。

www.theatlantic.com

Dr. Choi also feels that women expect far more from marriages than in the past when the need for financial security was often a defining factor.

“Previously women mainly looked for qualities such as work ethic and ability to support the family in a future husband, while the personality of a future wife was key for men,” she says. “But in contemporary Hong Kong society, there’s an expectation for marriages to be based on love and romance. So if the man’s merely hard working, that may not be enough. He also needs to be romantic and the couple needs to have chemistry.” 

totb.hatenablog.com

第三の道」も、女の要求(←本能)に反するため非現実的です。

toyokeizai.net

個人レベルで見たときに、キャリア志向の女性たちは仕事で活躍したい意識が強いにも関わらず、配偶者選択(mate selection)の際になぜ家事育児をしてくれる夫を選ばないのか、あるいは結婚後の交渉(post-marital socialization)として家事育児をしてくれるように交渉できないのでしょうか。

結論を先取りして言うと、「キャリア志向が強いからこそ」そういう夫を選ばない、そして交渉できないという実態があると私は考えています。

toyokeizai.net

エリート女の泣きどころは、エリート男しか愛せないってこと(笑)。男性評論家はよく、エリート女は家事労働してくれるハウスハスバンドを選べなんて簡単に言うけど、現実的じゃない。

――まさに、そうだと思います。女性は、尊敬できる男性じゃないと、なかなか、結婚する気になれません。 

女の願望通りに男女同等化と上方婚志向を選択すれば、人口再生産ができなくなるため、社会は持続不能に向かいます。

totb.hatenablog.com

結局のところ、男女の雇用差別の撤廃や広範囲での男女同等化という「正義」を実現したことが少子化の根本原因ということです。なので、少子化対策は多くの国民が反対する「不正義」にならざるを得ません*1。それを主張できるほど勇気がある政治家はまず出てこないでしょう。*2

そのため、石破大臣のように、

出生率の問題にしても、結婚したいという人、できたら子供は二人以上欲しいと希望する人は多いのです。それを妨げている要因をなくしていく。

と当たり障りのないことしか言えなくなるのです。これが的外れであることは下の記事で説明しています。

totb.hatenablog.com

政府を批判するのは簡単ですが、その批判が政府の無策の一因であることは理解してもらいたいものです。

参考

jbpress.ismedia.jp

シンガポールは地下資源に恵まれない日本と同様、「人材」が唯一の国家資源と言える。“明るい北朝鮮”と揶揄されるだけあって、少子化対策も国家主導で強力に推し進められている。

しかし、このように結婚から出産に至るまで政府の政策が手厚くても2014年の出産率は1.25と前年の1.19からわずかに上昇しただけにとどまる。

jbpress.ismedia.jp

女性の高学歴化による社会進出拡大で晩婚化、未婚化が急増していることが背景にある。

彼女によると、タイ、特に都市部の高学歴の女性は本当に結婚しないという。

彼女曰く、「皆、結婚したくないのではない。だけど、特にタイの男性は働かないし、女性が家計を支えて働いているケースも多い。タイに理想の相手がいないだけ。今の生活を切り詰めてまで、という結婚願望がないとも言えるかな」とあっけらかん。

*1:落としどころがないわけではありませんが、別記事に回します。

*2:このことを理解している政治家や官僚がいることは事実。