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法人企業統計調査~バランスの回復は見られず

財務省から7―9月期の法人企業統計調査が発表されました。

jp.reuters.com

www.bloomberg.co.jp

グラフで確認します。*1

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設備投資は増加基調にありますが、経常利益に対する比率の低下傾向も明確です。企業が設備投資よりも利益確保を優先していることが窺えます。

人件費の抑制はさらに明瞭です。特に、製造業の売上高経常利益率の高さと売上高人件費率の低さの対比が際立ちます。

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一方、自己資本比率の上昇は続いています。特に、金融危機後の非製造業の上昇が目立ちます。

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脇田成は企業が「金融危機対策モード」を継続していることが需要不足の原因と分析しています。

賃上げはなぜ必要か: 日本経済の誤謬 (筑摩選書)

賃上げはなぜ必要か: 日本経済の誤謬 (筑摩選書)

過剰な防衛策の継続は2000年代の好況期に大きな盛り上がりを阻害した、つまり小泉・竹中改革の目指したトリクルダウン政策を企業の内部留保というダムで止めてしまったと言えます。

まとめると金融危機対応モードの後遺症から、大きく分けて、

自己資本の増大、つまり企業貯蓄増大による需要減少効果

②人件費が増大しないため、需要不足で生じる過剰設備

という2つの「合成の誤謬」 問題が生じたわけです。

したがって、処方箋は

財務上の優先順位を自己資本・設備投資・人件費から、バランスの取れた以前に戻す *2

となります。

安倍政権は企業に設備投資と賃上げを求めていますが、あまり期待できそうにありません。政財官学そろって「日本的経営」を破壊し、ショック・ドクトリン的に「日本改造」を進めた代償は大きかったようです。

totb.hatenablog.com

*1:金融業、保険業を除く。出所は省略。

*2:[引用者注]“自己資本>設備投資>人件費”から“自己資本≒設備投資≒人件費”に