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安倍首相の「景気がよくなるから妻が働く気になる」

世界の果てから戻ってきたので浦島太郎状態ですが、ブログを再開します。

まずはこの件について。

www.huffingtonpost.jp

アベノミクス期の就業者増加の大半は女ですが、

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安倍総理大臣はその理由を

私と妻、妻は働いていなかったけども景気がそろそろ本格的によくなっていくから働こうか、と思ったら、働き始めたらですね、[後略]

と認識しているようです。

しかしながら、日本では依然として夫の収入が増えると妻の就業率が低下するダグラス=有沢の法則が成立しています。夫の稼ぎを妻が管理する世帯が多いことと関係しています。*1

www.bbc.com

なので、景気が良くなって夫の収入が増えれば、妻の労働意欲は「安倍説」とは逆に減退するはずです。 

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結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

二人の認識が一致したのは、総合職に就いても、女は結婚相手に経済的に依存して、自分は「生活のためではなく、自己実現のための」仕事を目指す生き物だということであった。「女は真面目に働きたいなんて思ってませんよ。しんどい仕事は男にさせて、自分は上澄みを吸って生きていこうとするんですよ。結婚と仕事と、要するにいいとこどりですよ」と、彼女ははっきりとそう言い、私もその点に関しては全く同意見なのであった。*2

女の就業率を年齢階層別に見ると、アベノミクス期では50代以上の上昇が目立ちます。

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「働く女の増加」と聞くと反射的に肯定的に評価する人がいるようですが、

  • 夫の収入では家計が苦しいため働かざるを得ない妻
  • 「稼ぐ男」が見つからないため結婚できず働かざるを得ない独身の女*3*4

が増えているのであれば問題です。

女の就業率を高めるのであれば、「男女平等」の美名のもとに男の収入を相対的に引き下げることが効果的です。経済的に頼りになる男の減少は、非婚化→少子化を通じて長期的には労働力不足を招くので、さらに「女の就業率上昇が必要」という主張を正当化します(人口デフレスパイラル)。*5

美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

容姿に対して男女で反応があまり違わない一方、教育水準の高い男性ほど女性に好まれるが、女性の教育水準に関してはそういう傾向はあまり強くないという結果が得られている。[…]女性たちは容姿よりもお金を稼ぐ能力を示す特徴のほうを重視するようである。

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その帰結は歴史が教えてくれますが。*6

www.theguardian.com

As women have poured into labour markets around the globe, state-organised capitalism's ideal of the family wage is being replaced by the newer, more modern norm – apparently sanctioned by feminism – of the two-earner family.

Never mind that the reality that underlies the new ideal is depressed wage levels, decreased job security, declining living standards, a steep rise in the number of hours worked for wages per household, exacerbation of the double shift – now often a triple or quadruple shift – and a rise in poverty, increasingly concentrated in female-headed households.

ヒットラーの社会革命―1933~39年のナチ・ドイツにおける階級とステイ

ヒットラーの社会革命―1933~39年のナチ・ドイツにおける階級とステイ

「過去の婦人運動は36人の婦人国会議員と数十万のドイツ女性を大都市の路上に狩り出した」と、ある女性の党支持者は書いた。「それは1人の女性を高級官僚にし、数十万の女性を資本主義的経済秩序の賃金奴隷たらしめた。働く権利を奪われている男はいまや約600万もいる。女だけが、安価でいつでも利用できる搾取の対象として、いまなお仕事を見つけることができるのである」。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

*1:家庭内での地位が高い(財務省に相当する)ので、わざわざ社会的に高い地位を追い求める必要が乏しくなる。そのため、男女平等ランキングは低く、女の幸福度は高くなる。

*2:強調は引用者、以下同。

*3:25~34歳の就業率の長期上昇トレンド(1970年代後半~)と関係。

*4:「自分より稼ぐ夫」と「社会全体での男女の所得同等化」を同時に追求すれば、必然的に結婚相手を見つけることが困難になります。

*5:男には「子と妻を食べさせる」がhard-wiredされているが、女には「子を食べさせる」しかhard-wiredされていないため。一部の例外は除く。

*6:フェミニスト達には現状を総括してもらいたいものです。