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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

[雑感]リベラルは強者の味方

政治・歴史・社会

現在の先進国では、男女平等、多文化共生などのリベラルな観念が支配的になっています(→political correctness)。

「自己責任」とは何か (講談社現代新書)

「自己責任」とは何か (講談社現代新書)

ウォーラーステインは、世界的な若者の反乱の年である1968年を世界革命だと位置づけています。現在主流となっている新しい社会運動(フェミニズム、同性愛解放運動、少数民族解放運動、環境保護運動など)は、60年代にルーツがあります。 

リベラルと言えば「弱者の味方」のイメージがありますが、実際には"feminist foreign policy"なるものを掲げるスウェーデンでも経済格差が急速に拡大するなど、むしろ強者がますます強くなっている感があります。

qz.com

www.thelocal.se

… what’s really interesting is that inequality has risen faster in Sweden than anywhere else in the past two decades. 

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人口の7%がアジア・アフリカ出身者

そもそもリベラルとは「制約、支配、抑圧、くびき」からの「解放→自由*1」の意味なので、一般的には「奴隷解放」のように肯定的に捉えられます。

しかし、注意しなければならないのは、「制約」が必ずしも強者が弱者を支配するものとは限らないことです。強者のやりたい放題や、共同体内部の破壊分子を抑え込む制約*2まで解放すれば、マッドマックスや北斗の拳のような、弱肉強食の世界になってしまいます。

また、共同体の構成員が安全・安心を感じられるためには、共同体を守る「壁」が必要です*3。しかし、その存在意義を理解せずに、「人々を閉じ込める檻」「壁の外の弱者を救え」と考えて内部から破壊行動に出る人もいます。その結果、壁の外にいる巨人(グローバル資本)に侵入されて多くの一般人が食い殺されることになります。

たとえば、先進国の高賃金維持には低賃金国からの移民流入を防ぐ「壁」が必要ですが、ヨーロッパでは壁を低くしたために、格差拡大の一因となっています。*4

世界経済を破綻させる23の嘘

世界経済を破綻させる23の嘘

富める国の賃金は、何よりもまず、移民政策によって決まる。[…]もし労働市場のなすがままにほうっておいたら、結局は自国民労働者の80~90%が、移民労働者に取って代わられることになる。

www.asahi.com

――でも、労働力として移民を求めたのはフランス自身ですよね。財界の要請でしょう。
「確かに、指摘された通りです。給料を下げるために、40年にわたって移民を利用してきたのです。今、そのツケをみんなが払わされている。許せません」*5

当初は権力や大資本が「革命の敵」だったのが、今では一般大衆を「レイシスト」などと敵視して攻撃するようになったわけです。革命が暴走することは珍しくありません。*6

高学歴エリート(自己認識=強者)が多いリベラルにとっては、自分たちのやりたい放題を可能にする「制約のない=自由な世界」が望ましいのかもしれませんが、安全・安心を奪われる庶民にとってはたまったものではありません。

資本は、無家族を理想とします。真っ平らな平面に置かれたバラバラの個人のほうが管理がしやすいからです。今、家族のなかに外部の論理が急速に浸透し始めています。規制緩和という名目でも、家は、しだいに解体の方向へ仕向けられているように思えます。家がなくなれば、人間は散乱した存在となります。*7

ちなみに、スウェーデンでは18歳未満の子供がいる世帯の約2割がシングルマザー世帯です。

家族という病 (幻冬舎新書)

家族という病 (幻冬舎新書)

参考

上野千鶴子の「邪魔者は勝手に死ね」という本音。どう読んでも「弱者の味方」とは対極の強者の発言です。

バックラッシュ!  なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?

バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?

何でフェミニズムが、彼ら*8の不安のケアをしなければならないのですか?[…]そういう人たちがフェミニズムの妨げになるかもしれないので、降りかかる火の粉は振り払い、じゃまなものは足蹴にしなくてはならないから、対策は必要だとは思いますよ。[…]自分のケアは自分でする、これがフェミニズムの自己解放の思想の基本のきです。

めんどうくさがる男たちが、実際のインタラクションから完全に撤退してくれたら、それはそれでいい。ギャルゲーでヌキながら、性犯罪を犯さずに、平和に滅びていってくれればいい。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

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*1:例:尾崎豊「卒業」

*2:たとえばノブレス・オブリージュ、累進的な税体系など。

*3:例:アメリカや南アフリカなどの"gated community"。

*4:壁外から無尽蔵の弱者を引き入れて「底辺への競争」を促す戦略。

*5:[追記]元記事がリンク切れ。インタビューに答えているのはフランスの国民戦線(FN)のルペン党首。

*6:やり過ぎると「テルミドールの反動」を招くことに。

*7:『〈自己責任〉とは何か』

*8:[引用者注]政治的、経済的既得権益を持たない若者のこと。