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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

超過準備への付利批判と文化大革命

金融

日本銀行が超過準備に0.1%の利息を付していることを異常に問題視する人が(特にリフレ派に?)見受けられます。

超過準備は日銀が銀行等から受け入れている当座預金の一部なので、原則的には無利子ですが、2008年10月31日の補完当座預金制度の導入時に時限的措置として利息が付されることになりました。

積極的な資金供給の下では、日本銀行政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)がその誘導目標から大きく下方に乖離する可能性がある。*1

補完当座預金制度は、臨時の措置として、いわゆる「超過準備」に対して、コールレートの誘導目標を下回る利率によって利息を付すものである。本制度の導入によって、コールレートを目標水準に適切に誘導しつつ、積極的な資金供給を一層円滑に行い得るようになり、金融調節面での対応力の強化につながるものと考えている。

2001~06年の量的緩和期には、無担保コールレートがゼロに貼り付き、短期金融市場が縮小する弊害が生じました。

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そのため、短期金融市場の機能維持と超過準備(ブタ積み)増加を両立させるために、短期金利の誘導目標とほぼ同水準の金利が超過準備に付けられるようになったわけです。付利が導入されてからは、量的・質的金融緩和開始以降も無担保コールレートは0.1%弱を維持しています。

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準備預金への付利は他の中央銀行も行っていることなので、その説明も引用しておきます。参考にどうぞ。 

libertystreeteconomics.newyorkfed.org

In particular, lowering rates could further depress the volume traded in the federal funds market. In a thinner market, the rate could then be driven by infrequent transactions that are no longer representative of overnight borrowing costs. The information that this rate may convey would then be lost. Very low interest rates could also place money markets funds under stress—an outcome that could disrupt access to short-term credit for some borrowers, including large firms.

bankunderground.co.uk

Central banks increasingly guide market rates via the rate at which they remunerate reserves, rather than the level of reserves. Much recent thinking (for example, Keister, Martin and McAndrews, 2008) about reserves focuses on whether central banks may be able to separate the quantity of reserves supplied from monetary policy, preserving the central bank’s control over interest rates irrespective of demand for base money for settlement or liquidity purposes.

この説明も重要です。*2

But remuneration of reserves erodes much of their “specialness” as, in an economic sense, they become similar to short-term government liabilities (which may be sold or used as collateral to borrow cash when required). As such, they become much more like part of the broader spectrum of liquid assets, assessed against their liquidity value and expected return.*3

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超過準備への付利は円滑な金融調節に有効なツールであり、銀行等への補助金でも、銀行の貸出インセンティブを阻害するものでもないにもかかわらず、難癖をつける論者が後を絶たないのは不思議です。*4

おそらく、「日銀がブタ積みを増やせば一挙にインフレ好況到来」の予測が外れたことに対する、「自分は間違っていない」「予測通りにいかないのは誰か(デフレ派?)が妨害しているからだ」という心理的防衛なのでしょう。*5

文化大革命 - Wikipedia

「中国革命は、(劉や鄧のような)走資派の修正主義によって失敗の危機にある。修正主義者を批判・打倒せよ」というのが毛沢東の主張であった。

リフレ政策は、超過準備への付利に象徴される日銀と銀行の「修正主義」によって失敗の危機にあるので、日銀と銀行を打倒せよ、ということでしょうか。

diamond.jp

2200億円の「お小遣い」に固執して、貸出を行わない銀行に社会的な意味はない。そうした銀行は、いずれ金融再編の中で淘汰されていっても仕方ないだろう。

gendai.ismedia.jp

もともと、こういう理不尽な0.1%の付利政策をさっさと撤廃すべきだったのだ。 

なお、国内銀行の貸出金残高は、超過準備への付利(お小遣い?)がなかった前回の量的緩和期には減少、付利がある今回は増加しています。

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totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

参考

岩田さんと黒田さんとスティグリッツさんの話

私は、インフレ目標による金融緩和政策の結果、今後景気拡大することは間違いないと思っていましたが、唯一懸念材料は、きたる消費税率引き上げでした。

今でも私は消費税引き上げはやめた方がいいと断固言い続けますけど、しかし、岩田さんのこの論文を読んで、現実問題として景気挫折の可能性は消えたと思いました。

断言しましょう。大変な好景気がやってきます。バブルを知らない若い世代は、これを見てビビって目を回すでしょう。

*1:日本銀行のwebサイトより引用。

*2:準備預金への付利を批判するなら、国債に利息を付けることも批判しなければならなくなる。

*3:強調は引用者、以下同。

*4:付利を批判する人には、付利を廃止するとどのような「よいこと」が生じるのか教えてもらいたいものです。もちろん、「銀行が超過準備を日銀の当座預金口座から引き出して貸出に回す」は無しです。

*5:「日銀が銀行に巨額の超過準備を押し付ける→企業や家計の予想インフレ率上昇→インフレ好況到来」を唱えていたリフレ派が、「銀行が超過準備を抱え込んでいるから景気拡大が阻害されている」と意味不明の主張を始める事態が生じています。