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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

フェミニズムの理想は「女が生きづらい社会」

人口・少子化

先日のこちらの記事(↓)の補足(要約)です。

totb.hatenablog.com

家庭でのアンペイドワークには価値を認めず「カネを稼ぐ」ことに異様に執着するフェミニズムの代表的論者の主張です。

president.jp

(2)年功序列を廃止して(3)同一労働同一賃金を確立することです。[…]正規雇用者の給料を下げて、夫に600万円払っているのなら、夫に300万円、妻に300万円払うようにすれば、納税者も増えます。

toyokeizai.net

基本的に、企業は育児や介護中の従業員が、職場に出たり入ったりできる仕組みを整えるべきなの。

「柔軟な働き方(会社に出たり入ったり、ライフステージによって短時間で働いたり、フルで働くことができる)」の実現を阻む諸悪の根源は、年功序列と新卒一括採用よ。

これを雇う企業の側から見れば、

  • 低賃金労働者の確保が容易
  • 年功に応じた賃上げが不要
  • いつでも容易に解雇や配置転換できる(出したり入れたりできる)

となります。要するに、低賃金非正規労働を標準にせよということで、新自由主義の理想の「柔軟で流動的な」労働市場です。家計補助が目的のパートタイム労働者ならともかく、一家の大黒柱にとっては非常に厳しい労働環境です。*1

雇用不安 (岩波新書)

雇用不安 (岩波新書)

アメリカ企業は、80年代の停滞から抜け出すために、人件費を圧縮することを目的にジャスト・イン・タイム方式を雇用にも適用し、「必要な人員を、必要な分だけ、必要なときに」派遣会社からの派遣社員やパートタイマーを雇用している。人件費はもはや固定費とはみなされないのである。*2

また、

  • 年収300万円
  • 昇給の見込みなし
  • いつクビになるか分からない

の男と結婚しようと思う女がどれだけいるでしょうか。上野の理想の社会システムでは、非婚化・少子化が進むことは避けられません。

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president.jp

「今、新卒女子の約半数が非正規労働市場に入るんですよ。これでは先が見えず、子どもなんて産めません。一方、正社員として就職できた女性はハッピーかといえばそうでもない。男並みに働いて疲弊するか、2級労働者として扱われるか。我々世代は、女がこんなに生きづらい社会しかつくれなかったのかと思うと、忸怩たる思いです」

労働市場を上野の理想に近づけたからこそ、「女がこんなに生きづらい社会」がつくられたのです。「賃金労働が女を解放する」というフェミニズムの主張は、"Arbeit macht frei"を想起させます。

フェミニストたちは男女平等が稼得能力の同等化、すなわち「カネの前の平等」によって実現すると(浅知恵で)思ったようですが、現実に起こったのは、「カネという神」を独占する「教会」つまりは巨大資本・大企業の力の増大でした。

www.theguardian.com

Never mind that the reality that underlies the new ideal is depressed wage levels, decreased job security, declining living standards, a steep rise in the number of hours worked for wages per household, exacerbation of the double shift – now often a triple or quadruple shift – and a rise in poverty, increasingly concentrated in female-headed households.

In all these cases, feminism's ambivalence has been resolved in favour of (neo)liberal individualism.

上野は

  • 東京大学教授という(庶民の基準では高給の)安定職に就いていた
  • 夫も子もいない確信的な「おひとりさま」*3

という例外的なエリートですが、エリートの理想が一般大衆にとってはディストピアになることは、歴史上珍しいことではありません。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

おまけ

野村は『雇用不安』で

短期的には、「全部雇用」とフェミニズムとを両立させることは不可能である。しかし、長期的には、フェミニズムと対立しない「全部雇用」が可能になるかもしれない。

と分析していましたが、長期的にも無理ではないでしょうか。

*1:この流れの延長線上に、途上国からの移民受け入れがあります。

*2:[引用者注]労働者から見れば、給与所得の安定が保証されないということ。

*3:おとひりさま→個人主義→individualism→利己主義