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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

大学は半分くらいがちょうどいい

政治・歴史・社会

このtweet(↓)が批判されているようですが、

映画『セブン』ではないですが、後半部分の主旨には同意できます*1。過去記事の繰り返しになりますが、改めて大学削減の必要性について取り上げます。

장하준が指摘するように、大学進学率を高めることは、社会全体にとっては必ずしもプラスではありません。日本を含む多くの先進国では、むしろ「ペイしない過剰投資」になっている可能性大です。アメリカに続いて日本でも「奨学金を返せない大学卒業生」が問題になっていることが、この見方を裏付けます。

世界経済を破綻させる23の嘘

世界経済を破綻させる23の嘘

非工業化と機械化が進んで、ほとんどの富裕国では大半の仕事で知識の必要度がむしろ落ちてさえいる。知識経済で重要とされる高等教育にしても、経済成長との単純な関係はない。

大学入学者の割合が“臨界点”を超えるや、まともな職につくためには大学へ行かなければならないという状況が生じる。[…]人々は、仕事には絶対に必要にならないことを学んで“時間を浪費する”とわかっていながら、大学に行くのである。*2 

誰もが学士号をもてば、他人より目立つには修士号を、いや博士号を取得しなければならなくなる、ということだ。そうした上位の学位を取得しても、未来の仕事の生産性を向上させるのには最小限しか役立たないとしても。

相対的優位を争う競争を大規模化すると、参加者の得にならない均衡に陥ってしまうことは、

  • 軍拡競争
  • オークションで競った結果、とんでもない高値で落札する羽目になる
  • 一般競争入札→価格の叩き合い*3

などにも見られます。

大学全入時代 - Wikipedia

2000年代に入り、小泉純一郎政権時代の規制緩和が大学にも及ぶことになり、それまでは学校法人審議会による厳しい審査が必要であった大学・学部新設の一部に届出制が導入された。これが大学の新設ラッシュを引き起こし、1992年から2006年までの間に大学は約70校新設され、短期大学からの四年制移行もあわせると184校増加した。

大学入学者が18歳人口の減少を上回るペースで減少するように、大学の統廃合を加速させていく必要があると考えられます。大学進学率は、1980年代までの25%もあれば十分でしょう*4。大学進学者と大学が減れば、1人当たりの奨学金や、1大学当たりの補助金を増やせます。

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www.sankei.com

同学園のホームページに掲載されている資金収支計算書によると、同学園はこの数年間は国や自治体から年計6億円前後の補助金を受け取っている。 

進学率がほぼ100%の高校教育も見直しが必要と考えられます。そもそも、偏差値70台と偏差値30台に難易度は別としてほぼ同じ内容を教えることには無理があります。高校を卒業して社会人になる層には、微積分よりも、労働法規や社会保障制度など世の中の仕組みを教えるほうがはるかに役立つでしょう(←選挙にも役立つ)。

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「大学は出たものの」の社会よりも、高卒でもdecent workが見つけられる社会を目指すべきではないでしょうか。なお、大学進学率の低下は、早婚化・早産化につながるため、少子化対策にもなることも指摘しておきます。

totb.hatenablog.com

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)

*1:「偏差値50」の母集団としては、大学合格者全体ではなく、受験年齢人口あるいはそれに類する集団が想定されていると見るのが普通であり、「年々大学が半減していき、東大だけしか残らない」という批判は的外れでしょう。

*2:強調は原文では傍点。

*3:一般競争入札そのものが悪いわけではないので念のため。

*4:現在の約半分の水準ですが、経済社会は現在よりもうまく回っていました。