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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

保育に関するスウェーデン礼讃記事への疑問

保育園事情についてスウェーデンを礼讃する記事に“?”な点があります。

thepage.jp

スウェーデンの保育園には夜間保育もない。お迎え時間も早く、午後5時に残っている子どもはほとんどいない。

とのことですが、近年では夜間保育が増加中です。消費者には便利な24時間社会では、子供を預ける人と預かる人は深夜労働しなければなりません。

www.bbc.com

Most public nurseries offer care from around 06:00 to 18:00. But with the numbers of parents working flexible or unconventional hours going up, local councils are increasingly providing overnight and weekend services.

また、働く母親に優しい労働条件とのことですが。

小学校6年生まで、親は労働時間を短縮する権利が認められているので、子どものいる母親の有業率は高いが、ほとんどの母親の労働時間はフルタイムではなく、たとえば、30%とか、50%とか、子どもが幼い時期は労働時間をかなり短縮して働く母親が大半であった。スウェーデンの働く母親の子育ては、子どもにも親にも余り無理がかからないようなゆとりのあるものであった。

これが可能なのは、女の5割が公的セクターで働いているためです(男は2割)。*1

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職業も、女は教育や福祉分野に集中しています。地方自治体立のデイケアセンターのスタッフの97%は女であり、女の雇用者の30人に1人はchildcare workerです。

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さらに、 

同一賃金同一労働の原則が貫かれた福祉国家なので、保育士の賃金が極端に低く抑えられることもない。

とのことですが、childcare workerの給与水準は全体平均より30%低く、最低の職業の一つです(下のグラフは最上位10種・最下位10種と全体の平均)。

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スウェーデンなど北欧諸国は、家庭での子育てを否定する(主婦の奴隷労働からの解放)とともに「男女に生得的な違いはない→女も男と同じように働くべき」というフェミニズムイデオロギーに基づいて女を労働力化しましたが、現実には女と男には職種や働き方の好みに違いがあるため、女の半数を競争圧力の弱い公的セクターに吸収して家庭内労働に近い仕事を割り当てて建前を成立させているわけです(員数主義?)。その対価≒児童・家族関係給付費(2012年)がGDP比3.2%とEU平均の2.4%を上回る多額に上ることにも留意が必要です。*2

一方、アメリカの保育は移民等の低賃金労働者の存在によって支えられています。経済格差が働く母親を支えているわけです(⇔貧しいから働かざるを得ない)。

所得の高い世帯では、ナニーと呼ばれる住み込みのベビーシッター(メキシコの移民などが低賃金で働く)を利用する。一方、低所得の働く母親は、友人、知人などに安い料金で預けることも多い。彼女らは自宅で自分の子どもを育てながら、知り合いの子どもを預かる。

まとめると、

  • スウェーデン:高い税金を徴収して女を公的セクターで雇う
  • アメリカ:移民を受け入れるなどにより低賃金労働者を増やす(格差社会

となります。*3

夫婦共働きが困難なことが、日本の低出生率の主因であるかのように結論されていますが、

先進国の中で出生率が高いのは、子どものいる夫婦が共働きが可能な諸国である。

日本も夫婦共働きが困難で、出産・保育によって大幅に低下する女性の生涯所得が課題となり、いつまでも出生率が低迷し続けている。

事はそう単純ではありません。保育所整備等に「仕事のために出産を諦める」行動を減らす効果があることは間違いないでしょうが、それよりも、女の立場を強めると、結婚相手への要求水準が高まって非婚化が進む逆効果が無視できなくなることは、シンガポールなどの現状からも明らかです。

jbpress.ismedia.jp

シンガポールや香港の場合、女性の社会進出は拡大したが、肝心な少子高齢化は深刻化を増す一方だ。

「夫婦共働きを容易にすれば出生率は下がらない」は、格差を拡大してでも女の社会進出を肯定したい勝ち組イデオローグのプロパガンダ(あるいはポジショントークということです(フェミとネオリベは同じ穴の貉)。*4

トッドの分析を援用すると、「エリート内の男女平等を、一般大衆の奴隷化(貧困化)によって成立させる」ことが目指されていると言えるでしょう。*5

アパルトヘイト南アフリカには、自由主義的・民主主義的ルールにしたがって申し分なく機能する平等な市民の集合体があったのだけれども、その自由や民主主義は被支配者たちが存在するという条件でのみ成立していた。

人種差別時代のアメリカと同じだ。アメリカでは、白人グループ内の平等が、アメリカ原住民および黒人に対する支配によって保障されていた。  

totb.hatenablog.com

"Feminist foreign policy"なるものを掲げる特異なイデオロギー国家・スウェーデンのシステムを日本に移植することは危険過ぎるようです。

http://www.1101.com/boss/06.html 

フリーセックスってどういう意味か行って初めてわかった。
要するに社会生活のルールを性別と無関係にしちゃうということだった。
男女同権、の完全実施というわけ。
女も社会へ出て行ってよいし、男も家事をやるという。
遺伝子に書かれている男女の役割分担を無視したルールを作っちゃった。  

totb.hatenablog.com

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*1:「雇用者」はemployeeのこと。

*2:Eurostatの統計より。

*3:近年のスウェーデンは、アメリカの方向にシフトしつつあります。

*4:勝ち組は、上野千鶴子のような独身主義者か、Anne-Marie Slaughterのようなパワーカップルです。Slaughterのgreedyぶりは、"Why Women Still Can’t Have It All"によく表れています。

*5:フェミニズム的なポリティカル・コレクトネス(PC)を一般大衆に浸透させることは、エリートの支配を強固にします。PCを肯定する限り、経済格差を否定できなくなるからです。