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非金融法人企業の金融資産・負債と「ダム論」

25日に日本銀行が発表した「資金循環」によると、企業の内部留保志向が続いていることが確認できます。以下、非金融法人企業の金融資産・負債残高についてグラフ化してみます。 

家計・企業の金融資産、12月末は過去最高 現預金の積み増し続く | ロイター

企業の金融資産も高水準の収益を背景に同4.4%増の1117兆円と過去最高となった。このうち現金・預金が同7.9%増と大きく伸びており、残高は246兆円と過去最高を更新。流動性預金を中心に手元資金を積み増す動きが続いている。*1

リーマンショックから続く企業の現金・預金積み増しは止まっていません。

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資産と負債の対GDP比の推移です。

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これを株式等と、それ以外に分解します。

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1990年代後半から史上最長の景気拡大が本格化するまで(1997~2004年)は債務圧縮、それ以降は資産の積み増しが積極的に行われたことが分かります。*2

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1990年代後半から株式等を除いた「純債務」は急激に縮小し、2014年末以降は資産超になっています。*3

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企業の財務状況が超健全化したことは、財務省「法人企業統計調査」からも確認できます。*4

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2000年頃にはいわゆる「ダム論」が議論されましたが、

ダム論は、しばしば、「企業収益が改善してきているのは、言ってみればダムに水が溜まってきていることになり、溜まった水がダムから放水されるように、増加した企業収益は結局は所得の増加として労働者に流れ始め、個人消費の増加をもたらすことになる」との議論であると受け止められています。*5

それから15年が経過しても企業がダムから放水を積極化する兆候は見られません。量的・金融緩和を第一の矢とするアベノミクスも、企業を「脱ダム宣言」させるには至らなかったようです。

*1:[引用者注]この記事の「企業」は非金融民間法人企業のこと。

*2:金融危機→債務圧縮、リーマンショック→現預金積み増し

*3:1997年末→2015年末の減少幅は410兆円。同期間に一般政府の資産・負債差額は493兆円拡大。

*4:ネットD/Eレシオ=(有利子負債―現金・預金)/純資産

*5:ゼロ金利政策解除の背景と今後の金融政策運営----2000年 9月28日・熊本県金融経済懇談会における田谷審議委員挨拶要旨」日本銀行webサイトより。