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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

保育士の「やりがい搾取」対策

「保育士の給与は低すぎる」というリベラル教育社会学者による解説記事です。

dual.nikkei.co.jp

保育・教育・介護といった世界は、労働者の「やりがい感情」に支えられている面が強いのですが、それは砂上の楼閣のようなもので、いつ崩れてもおかしくありません。それによりかかってばかりではいけない。やりがい報酬だけでなく、金銭の報酬も保証されねばなりますまい。

下の記事で取り上げましたが、保育士の相対的な給与水準はスウェーデンやアメリカと比べても低くありません。

totb.hatenablog.com

今回は参考にイギリスのデータを示します。民間のnursery nurseの平均給与は総平均の半分以下で、ウェイター/ウェイトレスやレジ係などに次いで低い最低職種の一つです。

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保育士が低給与になる主な理由は、

  • 高度な技能や知識が不要で参入が容易(他の単純労働と同じ)
  • 子育ては「誰でもやること」という観念が一般的⇒高価格を受け入れる社会通念の不在(靴磨きと同じようなもの)

です(詳しくは上の記事を)。なので、政府が国民の反対を押し切って強権を発動しない限り、大幅アップは困難でしょう。*1

舞田は

保育士と介護士。双方とも、やりがいへの満足度が高く、不満は給与面に集中しています。前者によって、後者が表出(噴出)するのが抑えられている。こういう構造です。「やりがいによる搾取」と呼んでもいいでしょう。

という分析に基づき、保育士の給与アップを求めていますが、「やりがい搾取」の解決策はおそらく逆で、給与以外の労働環境の改善が有効と考えられます。

1990年代後半以降、日本経済は企業部門資金余剰を続けているために慢性的需要不足に陥っています。しかし、それにもかかわらず国民が政府に一層の支出削減を要求するという狂気に憑りつかれているため、そのツケが末端労働者の負荷増大という形で現実化しています。また、消費者意識の異常な肥大化≒クレーマーの増大が、反撃しにくい末端労働者の精神的負荷を増大させていることも無視できません。

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togetter.com

最近では、大手百貨店が営業時間を短縮するなど、消費者への迎合に歯止めをかける兆しが出始めましたが、保育所も利用者の利便性よりも、保育士の負担軽減を優先したほうがよさそうです。負担が軽減されれば、給与が変わらなくても、給与への不満は減るでしょう。

保育所・保育士の問題に関しては他の[保育]カテゴリの記事もご参考に。

webronza.asahi.com

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*1:そうしたらしたで、「既得権益」との批判が噴出するでしょう。