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「女の上昇婚志向」に関する考察

「女に上昇婚志向はあるか」が話題になっていたようなので、簡単にまとめてみます(過去記事からの抜粋・再構成)。

この問題の本質は、下の記事に示されています。

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一昔前は当たり前だった「男性が稼いで女性を養う」スタイルの結婚の場合、男性は独身時代の生活とは別れを告げ、一家を養う覚悟を決める。

結婚後、女性が仕事を辞め、専業主婦になれば、それまで1人で使っていた給料を2人の生活に充てることになる。当然、結婚することによって経済的なゆとりが減り、独身時代にできていたこともあきらめざるをえなくなる。それを当たり前と受け止め、皆、結婚に踏み切っていたのが、「男性が稼いで女性を養う」スタイルの結婚だった。

しかし、今回、3人の女性たちの話を聞くかぎりにおいては、独身である今の自分が「やっていること」「できていること」を犠牲にしてまで、男性を養ってもいいという気配はみじんも感じられなかった。

男性不況――「男の職場崩壊」が日本を変える

男性不況――「男の職場崩壊」が日本を変える

男は女を養おうとするが、女は男を養おうとしない」傾向は、日本に限らず北欧諸国も含めて普遍的に見られます。これが社会学者が主張するように「社会的に作られた」ものか、それとも進化の産物(本性)なのかが問題です。

美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

容姿に対して男女で反応があまり違わない一方、教育水準の高い男性ほど女性に好まれるが、女性の教育水準に関してはそういう傾向はあまり強くないという結果が得られている。[…]女性たちは容姿よりもお金を稼ぐ能力を示す特徴のほうを重視するようである。

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「男女に生まれつきの違いは存在しない」と主張する社会学者も認めざるを得ないのは、女は子供を産めるが男は産めないことです。そして、動物の世界では、その違いが子育てとパートナー選びの雌雄差を生んでいます。

あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源

あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源

メスは量よりも質を追求する。たいていの動物は、メスは交尾相手と暮らさない。元気いっぱいで健康なセックスパートナーが見つかって、わが子に優良な遺伝子を与えてくれれば、それで充分なのである。オスがメスのもとにそのまま留まる動物では、やさしくて、危険から母子を守ってくれて、食べ物をとってきてくれるオスが好まれる。

基本的に子育てするのは自分の子供と100%確定できる雌で、自分の子供と確定できない雄が子育てするのは例外的です。人間は二足歩行になったことが原因で子育てに多大な時間とエネルギーを要するようになったので、母親だけの子育てが困難となり、子供の父親を夫として取り込むようになったと考えられています(→核家族)。夫に求められるのは、子供と子育てする妻の面倒を見ることです。つまり、女にとっての夫は、自分と子供を養うべき存在であって、自分が養う存在ではないわけです。 遺伝子を残す上で、男には女を養うメリットがあるが、女には男を養うメリットはありません。実際、制度的に男女平等を徹底したノルウェーでも、女は出産すると夫ほど積極的に働こうとしなくなります。*1

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現代の人間社会では、食べ物を取ってくる代わりに金を稼いでくることが男に求められることなので、必然的に「自分より稼ぐ男」を志向するわけです。もちろん、結婚する時点では女が男より稼ぐケースもありますが、生涯を通して養うのではなく、「将来に自分よりも稼ぐようになる男」の先物買いが主と考えられます。*2*3

面白いのは、男女平等を主張する著名フェミニストも、個人ベースでは上方婚志向を認めていることです。

「男は尊敬できる相手でなくてはならない。」サルトルを選ぶ過程は、幻滅を味わわなくてもよい男に出会うことに費されました。自分より頭が良く、思想的に優れていることが必要だったのです。 

「男と女は平等であるべきだ。」サルトルだけは別で、その他の男と女とは本質的に同等の能力をもっている。意地悪く言えば、ボーヴォワールの男女平等論はこういう構造をもっています。

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エリート女の泣きどころは、エリート男しか愛せないってこと(笑)。男性評論家はよく、エリート女は家事労働してくれるハウスハスバンドを選べなんて簡単に言うけど、現実的じゃない。

二人に比べれば小物ですが、おまけに東京大学卒の中野円佳を。

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個人レベルで見たときに、キャリア志向の女性たちは仕事で活躍したい意識が強いにも関わらず、配偶者選択(mate selection)の際になぜ家事育児をしてくれる夫を選ばないのか、あるいは結婚後の交渉(post-marital socialization)として家事育児をしてくれるように交渉できないのでしょうか。

結論を先取りして言うと、「キャリア志向が強いからこそ」そういう夫を選ばない、そして交渉できないという実態があると私は考えています。 

全体としては「男と女は全く同じ」という主張をしながら、個人的には優れた男を求める矛盾が、男女のマッチングを難しくして非婚化・少子化を進めています。

医療関係者の知人(男)と女の医学生(東大理Ⅲを含む)の雑談も紹介します。

  • 知人「君たちみたいに頭が良いと結婚相手を見つけるのも大変でしょう」
  • 彼女たち「私たちが結婚できなくなるってことですか」(抗議するような口調で)
  • 知人「いや、君たちより『下の男』と結婚すればいいだけだよ。いくらでも相手はいるよ」
  • 彼女たち「(即座に)嫌です」 

彼女たちが順調に医師になれば、専業主夫を養うのに十分な稼ぎを得られるはずですが、エリート女はエリート男しか愛せないので、そういう夫は選ばないわけです。

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「女には上方婚志向がある」は、「男は女よりも暴力的」や「男は女よりも身体能力に優れている」と同じく進化の産物であり、社会学者のように躍起になって否定しても仕方ありません。

自称現実的左翼のピーター・シンガーが言うように、望ましい社会を作るためには、現実を無理やり曲解するのではなく、まずは人間の本性を受け入れることが必要です。それを無視すれば、共産主義の二の舞でしょう。*4

現実的な左翼に進化する 進化論の現在 (シリーズ「進化論の現在」)

現実的な左翼に進化する 進化論の現在 (シリーズ「進化論の現在」)

ダーウィニアン・レフトは以下のことをすべからず。*5

  • 人間の本性の存在を否定すること、ならびに人間の本性は元々よいものである、あるいは限りなく変えられると主張すること   

ダーウィニアン・レフトは以下のことをすべし。

  • 人間の本性というものがあることを受け入れ、それについてもっと知ろうとすること。そうすれば人間はどういうものかについての証拠のうち、最も利用できるものに基づいた政策が可能である

totb.hatenablog.com

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付録

日本の合計出生率は2005年を底に反転上昇しましたが、コーホート出生率は下げ止まってはいるものの反転上昇には至っていません。この矛盾(?)の説明は、下の記事の(*2)にあります。

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totb.hatenablog.com

*1:「人間は猫を養おうとするが、猫は人間を養おうとしない」と似ています。人間にとって、猫は鼠を捕ってくれたり、精神的に癒してくれるなどのメリットを与えてくれるので、リソースを割いてでも「養う」意義がありますが、猫には自分のリソースを割いてまで人間に尽くすメリットはありません

*2:必然的に、「投資回収の見込み無し」と判断された時点で損切りされます。

*3:妥協して結婚する女もいるので、結婚した男女だけを見れば、上方婚志向が弱く見えることにも注意。

*4:既に多くの先進国でその兆候が見られます。

*5:強調は原文では傍点。