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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

公的固定資本形成~東京と大阪の比較

日本の名目GDPが1997年度のピークを未だに下回り続けている一因は、公的固定資本形成が95年度のピークから半減していることにあります。

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公的固定資本形成がGDPに占める割合は、バブル期の7%からバブル崩壊後の92~96年度には8%台に高まりましたが、その後は急低下し、2005年度以降は4%台となっています。

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次に、内閣府の「県民経済計算」から、東京都と大阪府の公的固定資本形成の動向をグラフで確認します。

小泉政権構造改革が本格化した時期から、東京都の対全国シェアが急上昇しています。*1

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一方、大阪府の対全国シェアは低迷を続けています。

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1980年度を1として指数化すると、構造改革本格化以降の乖離が顕著です。

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近年の大阪から東京への人口移動は、公共投資の動向を反映しているようにも見えます。東京は「インフラ投資が人を引き付ける/人が増えるからインフラ投資が必要になる」の好循環で、大阪はその逆のようです。

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業績が悪化した企業が、目先のキャッシュフローを改善するために設備投資を抑制すると、競争力が低下して業績がさらに悪化していく泥沼にはまることがありますが、大阪はそれと似たパターンに陥っているように見えます。

大阪だけでなく、日本全体が「公共投資をケチって衰退していく」ようにも見えますが、積極投資を「ばら撒き」と批判し、投資削減を「改革」と称賛する空気が消えるまで、「ケチ⇔衰退」スパイラルが止まることはなさそうです。空気が消える頃には、最早回復不能になっているでしょう。*2

個人や諸機関、そして公共団体が自発的に、そして不必要に、有益であると認められた支出を削減したり、延期したりするのは、反社会的行為なのである。*3

補足

バーナンキは1999年に"Japanese Monetary Policy: A Case of Self-Induced Paralysis?"で、不十分な金融緩和が日本経済を停滞させていると論じましたが、今になってみれば、低金利にもかかわらず、民間企業と政府が揃って投資を抑制(削減)していることが、停滞の真因と言ってもよいでしょう。*4

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totb.hatenablog.com

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*1:非連続は基準年の変更によるもの。

*2:拒食症の患者の心理に似ているようです。

*3:1932年5月「 世界恐慌と脱却の方途」

*4:政府が財政均衡を目標にしていれば、国債金利の低下は公共投資を刺激しません。同様に、企業がリスク調整後の利益の最大化を目標にしていれば、調達金利の低下が設備投資を刺激するとは限りません。企業の行動原理の大転換を軽視(無視)していたことが、これまでの経済政策の効果が乏しかった主因と考えられます。