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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

日本経済にあいた大穴

日本経済が停滞する根底には、企業が純債務を減らす「財務健全化」が止まらないことがありますが、その内容は、史上最長の景気拡大が始まった頃を境に変化しています。1995~2003年はバブル期に増加した負債の減少が主でしたが、その後は資産の増加が主となっています。

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この時期に伸びているのは対外直接投資です。

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その結果は、トヨタ自動車のデータに表れています。

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この十数年間、景況感や金融政策、為替レート等は大きく変化したものの、企業の海外シフトが一貫して続いていることは、リフレ派が想定していた「予想インフレ率上昇→実質金利低下→国内投資増加」のメカニズムがほとんど効かなくなっていることを示唆します。

伊東光晴は20年前の1996年に、

「経済政策」はこれでよいか―現代経済と金融危機

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政府が景気対策を打ち、その結果、企業は経営に余裕が出ると、投資のより多くが海外にという傾向になる。

このことはマクロ経済政策としては、海外に投資される分が有効需要として海外に漏れるということであり、有効需要の減少を意味する。わが国には、貯蓄があって投資機会がないという形になり、その分、民間需要は縮小せざるをえない。それを公共投資によって補っているというのが90年代前半の姿だ。こうした民間企業の行動を放置して財政に支援を求めても効果が生まれない。

ケインズが、有効需要政策を採るなら国際資本移動の面にある程度の障壁を考えていたことを忘れてはならない。

と指摘していましたが、「こうした民間企業の行動」は2000年代になって加速していたことになります。その上、公共投資も大幅に削減したので、日本経済が内需主導の成長軌道に戻れなくて当然です。

スティグリッツクルーグマンは日本に大規模な財政出動をアドバイスしていますが、

http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/10/20/rethinking-japan/

The only way to be at all sure of raising inflation is to accompany a changed monetary regime with a burst of fiscal stimulus. 

What Japan needs (and the rest of us may well be following the same path) is really aggressive policy, using fiscal and monetary policy to boost inflation, and setting the target high enough that it’s sustainable. It needs to hit escape velocity.

このままでは「ざるに水」になってしまう可能性大です。とはいえ、グローバル化という「経済的に正しい」政策が180度転換される可能性は極めて低そうです。日本は「経済的に正しい」政策によって空洞化・転落していくのでしょう。*1

最後の転落 〔ソ連崩壊のシナリオ〕

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不機嫌な時代―JAPAN2020

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totb.hatenablog.com

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*1:進歩的な学者たちの意見に従った経営“改革”によって企業の共同体的なカルチャーを破壊した結果、上層部が植民地経営する“白人”、従業員が“酷使される現地人”のような関係に変質しました。経営改革後の日本企業の行動は、白人たちの「現地人を安く酷使して、自分たちの報酬と本国への送金を増やす」とよく似ています。日本の政財界が移民受け入れに積極的なのも、彼らの思考が「植民地における白人」のようになってきたためかもしれません。