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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

途上国からの出稼ぎメイドと経済格差肯定の論理

ひとつ前の記事の補足です。

シンガポールと同様、香港でもインドネシア人やフィリピン人のメイド(foreign domestic helper)を雇うことは普通です。

これに肯定的な人は、

  • 香港人は家事を安価にアウトソースできる
  • メイドは自国で働くよりも多く稼げる

ことをwin-win関係と認識するようです。

しかし、下の記事では香港人がメイドの弱い立場に付け込んでブラック労働を強要しているとのNPOの調査が紹介されています。

www.forbes.com

According to government statistics, the city’s average working hours is 40 to 50 hours a week. Meanwhile, the study shows that domestic workers work on average 71.4 hours a week (11.9 hours a day, six days a week), mostly due to the live-in rule, which requires migrant domestic workers to live with their employers, blurring work and rest boundaries.

The minimum wage for domestic workers is HK$4,210 ($542.85), which translates to HK$14.39 ($1.86) an hour, less than half of the HK$32.50 ($4.19) minimum wage of other workers in Hong Kong.

出稼ぎメイドの送金が家族の生活と本国の経済を支えていることは事実ですが、その代償として子供など家族と離れ離れになることを余儀なくされています。

“Many of the domestic workers here have children back home … [domestic workers] are the breadwinner,” explained Eni Lestari, an Indonesian domestic worker and the chairperson of the International Migrants Alliance. 

日本国内でもバブル経済以前は出稼ぎは珍しくありませんでした。

出稼ぎ - Wikipedia

主に東北地方や北陸・信越地方などの寒冷地方の農民が、冬季などの農閑期に首都圏をはじめとする都市部の建設現場などに働き口を求めて出稼ぎに行くことが多かった。出稼労働者の所得確保の一方で、高度成長に伴う旺盛な需要により労働者不足に悩む都市部への重要な供給源となった。……

新潟県出身の田中角栄が首相になると、出稼ぎをしなくても雪国で暮らせるようにしようにと日本列島改造論が唱えられ、全国で公共事業が増えた。 

www.news-postseven.com

当時の新潟は雪深く閉ざされ、冬になると一家の大黒柱は都会に出稼ぎに出ました。当然、家族はバラバラです。何とか、家族一緒に幸せに暮らせないものか。そう考えた田中角栄は、全国に高速道路を通したのです。これによって、全国の物流が完成しました。

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香港やシンガポールのメイドを肯定する人の論理に従えば、日本でも

  • 都市は労働者を確保できる
  • 雪国の農村は所得を確保できる

win-win関係だったと言えます。しかし、田中角栄らの古い自民党政治はこれを望ましくないものと考え、出稼ぎに行く必要がない地方経済を作り上げました。

メイド肯定派は「途上国を豊かにする一種の国際貢献」と言いたいようですが、古い自民党的な論理なら「途上国に投資して現地の雇用創出」こそ国際貢献になるでしょう。

メイドではありませんが日本でブラック労働が増えているのは古い自民党をぶっ壊したためです。「自民党をぶっ壊す」を熱狂的に支持した国民の自業自得です。*1

totb.hatenablog.com

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補足

平等志向が強いリベラル国家のスウェーデンですが、"White Migrations"の著者Lundströmによると、シンガポールに移住したスウェーデン人の女は「郷に入っては郷に従え」で、家事や育児を放棄して出稼ぎメイドに"アウトソース"します。自分がやりたくない仕事をメイドにやらせることを、スウェーデン人の女は「自分とメイドは違う」という格差意識で正当化するということです。*2

このことは、途上国からの出稼ぎ労働者や移民の存在が格差を肯定する意識を活性化することを意味します。Racismやsexismに反対するリベラリズムは経済格差を拡大・肯定するネオリベラリズムの強力な栄養源となっているわけです*3リベラルが大好きな多様性は、生活水準の多様性、すなわち経済格差と表裏一体です。*4

www.forbes.com

イギリスのBrexitやアメリカのトランプ勝利は、移民やジェンダー問題に熱心なエリートの本音が「上澄みはエリートへ、かすは大衆へ」であることが大衆に見抜かれたことを意味しているのでしょう。*5

www.reuters.com

totb.hatenablog.com

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*1:ネオリベ的価値観では「貧しくなるのも本人の自由」です。古い自民党の時代とは違って、現代では多くの政治家が「国民を豊かにするのが自分の責務」と考えていません。

*2:キャリア女は高確率でネオリベ支持になるようです。

*3:ポリコレ(political correctness)はネオリベの強力な味方ということ。アメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプバーニー・サンダースが反ネオリベを掲げて支持を集めましたが、トランプは反ポリコレ、サンダースは親ポリコレに分かれました。水と油の反ネオリベ&親ポリコレを主張したところにサンダースの限界があります。

*4:労働力の自給と性的分業→経済格差の小さい社会。

*5:一億総活躍:99%の日本人が外国人単純労働者と一緒にグローバルエリートに奴隷的奉仕すること。