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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

「働き方革命」の大きな代償

安倍政権が強力に推し進める「女の社会進出」が格差社会/賃金奴隷を必要とすることを示す記事です。

www.huffingtonpost.jp

第二次世界大戦後の先進国でメイドが減ったのは「ボーモルのコスト病」のためです。Baumol(1922年生)も著書に自身の経験を書いています。

The Cost Disease: Why Computers Get Cheaper and Health Care Doesn't

The Cost Disease: Why Computers Get Cheaper and Health Care Doesn't

In the developed world, for instance, most of us do our own cleaning and other household tasks, now that maids and butlers have all but disappeared. These professions were largely gone by the time I obtained my first teaching position some six decades ago, but my older colleagues at the time had previously employed maids, even when they were only assistant professors.

経済が生産性が上昇する革新セクターと上昇しない停滞セクターの二部門から成り、革新セクターの賃金は生産性に比例するとします。

革新セクターで「生産性が2倍になる→賃金も2倍になる→単位労働コストは不変→財・サービス価格も不変」が生じると、停滞セクターの賃金も革新セクターに引きずられて上昇します(ここでは同じ2倍とする)。生産性は不変なので賃金上昇は価格に転嫁されます(ここでは2倍とする)。その結果、停滞セクター/革新セクターの相対価格は2倍になります。革新セクターの生産性が上昇するほど停滞セクターの相対価格は高くなるわけです。*1

家事・育児は製造業や情報通信業のように生産性を上昇させられない典型的な停滞セクターなので、製造業などで生産性が上昇するとメイドを雇うことが相対的に割高になり、メイドから"Do-It-Yourself"へのシフトが進むことになります。

水木楊によると、所得倍増計画の立役者・下村治は

日本は悪くない―悪いのはアメリカだ (文春文庫)

日本は悪くない―悪いのはアメリカだ (文春文庫)

昭和四十年代、卸売物価は安定しているのに、消費者物価ばかりが上がったことがあった。日銀は金融引き締めなどを検討していたが、下村さんは断言した。「上がっているのはサービス価格です。それだけ人間の価値が上がったのですから、心配いりません」

と語ったそうですが、経済格差が小さい豊かな社会では、人間の価値≒人手によるサービスの価格が上がるために家事・育児のDIY化が進むわけです。

ところが、家事・育児のDIY化は家事・育児が嫌いな人にとっては憎むべき事態です(→日本死ね)。このような人々にとっては、メイドを安く雇える「人間の価値が低い社会/経済格差が大きい社会」が望ましくなります。

「人間の価値が低い社会」を最も熱望するのが、家事・育児が嫌い/家庭外で働くことが好きなエリート女です。

ボーヴォワールは語る―『第二の性』その後 (平凡社ライブラリー)

ボーヴォワールは語る―『第二の性』その後 (平凡社ライブラリー)

私は幸運でした。私は出産や家事の義務など女性を隷属させるいろんなものをまぬがれていましたから。それに、職業的にも私が若かったころは本格的に勉強をする女性はわずかで、哲学の教授試験合格に合格することはエリート女性であることを意味しました。要するに私は男性に自分を認めさせたわけです。

冒頭の記事にも

会員のうち、65%が独身、35%しか既婚者がいなかった。さらに、子供がいるのは、そのうちのわずか10%で、その人々も多くは実家で暮らし、家事をほとんどしていなかった。なお、現在もその傾向は変わっていない。

つまり、男性と同じ働き方をした人じゃないと、女性管理職にはなれないの。これじゃあ女性管理職は増えないな、と思いました。なんか、女性が惨めだなと思って。

とあります。

女が男と同じように管理職になるためには安価な家事代行サービスが必要という主張ですが、この主張の前に検討すべきは「夫が家事・育児の主担当者になる」ことです。この選択肢が無視されているのは、「妻が専業主婦になることを許容する夫&専業主婦になることを許容する妻」に比べて「夫が専業主夫になることを許容する妻&専業主夫になることを許容する夫」が圧倒的に少ないためです。*2

toyokeizai.net 

一昔前は当たり前だった「男性が稼いで女性を養う」スタイルの結婚の場合、男性は独身時代の生活とは別れを告げ、一家を養う覚悟を決める。

しかし、今回、3人の女性たちの話を聞くかぎりにおいては、独身である今の自分が「やっていること」「できていること」を犠牲にしてまで、男性を養ってもいいという気配はみじんも感じられなかった。

www.sankei.com

「男性の収入に頼って生活している女性はいない」という説明があったので、「デンマークには専業主婦はいないのですか」と質問すると、「一部のセレブにはいる。これは個人的見解だが、これだけ頑張って女性の社会進出の基盤を整えてきたのに、専業主婦になりたいという女性がいると、はっきり言って困る」との回答で、実際には専業主婦も専業主婦になりたい女性もいるとのことでした。

その原因は、エリート女はエリート男しか愛せないことです(生物学的必然)。

toyokeizai.net

エリート女の泣きどころは、エリート男しか愛せないってこと(笑)。男性評論家はよく、エリート女は家事労働してくれるハウスハスバンドを選べなんて簡単に言うけど、現実的じゃない。

エリート女の

  • エリート男と結婚したい
  • 仕事は続けたい
  • 家事・育児はやりたくない

の"have it all"願望を満たすためには、低価格で家事・育児をアウトソースするための賃金奴隷が必要になります。「女の社会進出」とは、少数のエリート女の自己中心的な欲望を満たすために多数の賃金奴隷を作り出すネオリベラリズムの一環なのです。

ヒットラーの社会革命―1933~39年のナチ・ドイツにおける階級とステイ

ヒットラーの社会革命―1933~39年のナチ・ドイツにおける階級とステイ

「過去の婦人運動は36人の婦人国会議員と数十万のドイツ女性を大都市の路上に狩り出した」と、ある女性の党支持者は書いた。「それは1人の女性を高級官僚にし、数十万の女性を資本主義的経済秩序の賃金奴隷たらしめた。働く権利を奪われている男はいまや約600万もいる。女だけが、安価でいつでも利用できる搾取の対象として、いまなお仕事を見つけることができるのである」。

www.theatlantic.com

エリート女に"have it all"させると、格差拡大と少子化が進んで誰かさんの希望通りに「日本が死ぬ」ことになりますが、代償としては大き過ぎないでしょうか。

ちなみに、フィリピンやインドネシアから多人数のメイドを受け入れて「女の社会進出」を進めた香港やシンガポール出生率は日本を下回っています。途上国からのメイド受け入れを少子化対策として正当化することはできないということです。

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*1:革新セクターの生産性上昇に合わせて停滞セクターの賃金を引き上げることが「経済成長」ということになります。日本が過去20年間名目ベースで成長できないのは、生産性上昇に応じた賃上げがされなくなったためです。

*2:ヒトは他の哺乳類のように母親だけでの子育てが困難なので、女は「男に自分と子供のために奉仕させる」、男は「自分の子供が育つために女に奉仕する」ようになったと考えられます。女にとって「自分に養われる男」は自分と子供のリソースを減らす穀潰しなので専業主夫が好まれないのは必然です。