オリバー・ストーンがヒラリー・クリントンやハリウッドの俳優たちを「本来の意味でのリベラルではない」と言っています。
彼女は本来の意味でのリベラルではないのです。米国による新世界秩序を欲し、そのためには他国の体制を変えるのがよいと信じていると思います。
――リベラル派が多いハリウッドは反トランプ氏が目立ちます。
「そのリベラルと呼ばれてきた人たちが、ものすごい介入主義者と化しています。リベラルと言われるクリントン氏をみればわかります。民主党は中道右派となり、左派を真に代表していません」
しかしこの見方は正しくなく、介入主義者こそ本来のリベラルと考えられます。
リベラルは反差別や多様性を信条としますが、この根底には「外見は異なっても人間であることに変わりはない→人間はみな同じ」という信念があります。公民権運動においては「黒人も白人と同じ人間→同じ権利が与えられていないのは正しくない→正しい社会を実現しなければならない」となりますが、これは黒人差別の体制をひっくり返す「介入主義」そのものです。グローバリゼーション前の一国リベラルでは介入主義が介入主義と意識されなかっただけです。
グローバリゼーションによって外国との「距離」が近くなり、「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」という感覚になってくると、他国であっても正しくない体制を正しいものに作り変えるために介入することは極めて自然です。「人間はみな同じ」というリベラルの根本信念に照らせば、他国の体制を変える介入主義者こそ「本来の意味でのリベラル」なのです。
グローバルリベラルの「正しい思想を広めるために他国に介入する」思考は、世界宗教のキリスト教あるいはイスラム教と似ています(一神教的イデオロギー)。*1
ドナルド・トランプは昨年の共和党指名受諾演説で
The most important difference between our plan and that of our opponents, is that our plan will put America First. Americanism, not globalism, will be our credo.
と、
- We―Americanism (America First)
- Our opponents―Globalism
の対立軸を明確にしています。Americanimはいわば土着の民族宗教、globalismは世界宗教です。
民族宗教がすみ分ける世界を理想とするトランプ大統領に対して、安倍首相が世界宗教への改宗を迫るという奇妙な構図となっていますが、日米宗教戦争が勃発しないことを願いたいものです。*2
二国間協議を始める考えを示すトランプ米大統領に、自由貿易の重要性を訴えていく考えを強調した。
現在、ネオコンという言葉はすでに使い古された感があり、ケーガン氏は昨年「リベラル干渉主義者」と呼ぶ方が適切であると述べている。

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人権や民主主義、市場の優越性や競争の自明性、科学的実証性など、現代社会において自明と思われている概念は、不平等の構造を拡大・深化させるレトリック、「普遍主義」という暴力に支えられているのではないか。