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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

QQEの破綻が示すデフレ不況の真犯人

日本経済

総務省から昨年12月の消費者物価指数が発表されました。

2%のインフレ目標には程遠い状況が続いています。

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2013-14年の一時的上昇は輸入インフレ(←円安)によるもので、国内のインフレには点火しませんでした。

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リフレ派が主張していた「銀行が保有する国債を大量に日銀当座預金と交換すると人々のインフレ予想が引き上げられて『思考が現実化する』」が誤りであったことはもう明らかでしょう。

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バブル崩壊後の日本経済の低迷に対しては、

  1. 金融政策
  2. 財政政策
  3. 構造改革

が試みられ、それぞれがアベノミクスの「矢」とされています。

アベノミクス第一の矢の量的・質的金融緩和の「功績」は、名目ベースでの成長を妨げてきたのが日本銀行の金融緩和不足ではなかったと証明したことです。

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消費税増税など財政政策の誤りを主因とする意見もありますが、真犯人は1990年代後半から本格化した一連の構造改革と考えるのが妥当です。*1*2

企業の目的は利潤(profit)を最大にすることである。

そのために、コストをなるべく小さくしようとする。コストを最小にするのが目的である。

経済成長には供給と需要が並行して拡大する必要がありますが、企業の目的は株主利益の最大化(→人件費の最小化)という観念が浸透したために「生産性上昇→賃金上昇→消費増加→投資増加→生産性上昇→…」サイクル(経済の好循環)が破綻し、経済全体の名目ベースでの成長も止まってしまいました。*3*4

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単位労働コスト(上のグラフの赤線青線)を国際比較すると、日本の異常な賃金抑制が際立ちます。賃金が生産性と比例して上昇していたとすると、現在の賃金水準は約3割高くなります。

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単位労働コストの引き下げによって捻出されたキャッシュフローは、投資有価証券として積み上がっています(内部留保)。財務省「法人企業統計」から1998年度と2015年度を比較すると、人件費-5.9兆円、投資有価証券+194兆円(年平均+11.4兆円)です。

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totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

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主犯=構造改革、従犯=財政政策だったのに、真犯人に仕立て上げられたのが金融政策だったということです。日銀に濡れ衣を着せることで誰が得をしたのかは推理する価値があります。

企業行動に詳しくない経済学者が誤診を続けてきたのが「失われた20年」だったと言えるでしょう。生産性上昇が賃上げにつながらないことが問題の本質なので、経済学者が壊れたレコードのように繰り返す「規制緩和して生産上昇」などの妄言は聞き流すことが賢明です。*5*6

jp.reuters.com

下の記事に続く

totb.hatenablog.com

参考

岩田規久男副総裁の就任記者会見(2013年3月22日)における発言*7

2 年経って、2%がまだ達成できない、2%近くになってもまだ達成できていない場合には、まず果たすべきは説明責任だと思います。ただ、その説明責任を自分で果たせないということ、単なる自分のミスジャッジだったということであれば、最高の責任の取り方は、やはり辞任だと思っています。

もうじき4年経ちますが、任期満了まであと1年強、粘るつもりでしょうか。ちなみに、日銀副総裁の2015年度の報酬等は2750万4千円でした。

リフレは正しい アベノミクスで復活する日本経済

リフレは正しい アベノミクスで復活する日本経済

*1:「水に落ちた犬は打て」とばかりに、賃下げや非正規化で打撃を受けた労働者に追い打ちをかけたのが財政政策。

*2:「六大改革」と称してfree-fair-globalの金融ビックバンや消費税増税を強行した橋本龍太郎は「地獄への道は善意で舗装されている」の好例です。

*3:グラフの黄緑線GDP per hour workedとunit labour cost (by persons employed)の積。

*4:生産性と賃金の乖離→デフレギャップになります。このギャップを埋めるために外国人にカネを落としてもらう政策が「観光立国」です。

*5:マクロ経済学者よりも、企業アナリストやコンサルタントのほうが企業行動の変化とその影響をよく理解しているようです。

*6:イギリスのエコノミストAndrew Smithersは、経営者の報酬を株価に連動させる米英のボーナスカルチャーが投資による長期的な成長よりもコスト削減による短期的な利益増加を促すインセンティブとして働き、経済全体の成長率を引き下げていると分析しています。

*7:出所:日本銀行