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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

英米の国民国家重視への路線変更

政治・歴史・社会

訪米中のイギリスのメイ首相がフィラデルフィアでの演説で「脱介入主義」宣言しました。

blogs.spectator.co.uk

The days of Britain and America intervening in sovereign countries in an attempt to remake the world in our own image are over. But nor can we afford to stand idly by when the threat is real and when it is in our own interests to intervene.

リベラル的価値観を広めるために他国に介入するリベラル介入主義≒ネオコン路線からの転換です。

www.asahi.com

――リベラル派が多いハリウッドは反トランプ氏が目立ちます。

「そのリベラルと呼ばれてきた人たちが、ものすごい介入主義者と化しています。リベラルと言われるクリントン氏をみればわかります。民主党中道右派となり、左派を真に代表していません」 

彼女は本来の意味でのリベラルではないのです。米国による新世界秩序を欲し、そのためには他国の体制を変えるのがよいと信じていると思います。

jbpress.ismedia.jp

現在、ネオコンという言葉はすでに使い古された感があり、ケーガン氏は昨年「リベラル干渉主義者」と呼ぶ方が適切であると述べている。

メイ首相は移民を管理するためにEUから完全離脱する方針ですが、これはメキシコ国境に壁を作るトランプ米大統領に通じます。

Because we know that so many of the threats we face today – global terrorism, climate change, organised crime, and unprecedented mass movements of people – do not respect national borders. *1

"America First","Americanism, not globalism","A nation without borders is not a nation"のトランプ大統領とメイ首相の共通点は、国民国家を最重要視していることです。「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」のウルトラ・リベラリズム路線の放棄です。

Yet the most important institution is – and should always be – the nation state. Strong nations form strong institutions. And they form the basis of the international partnerships and cooperation that bring stability to our world.

中東の新興宗教に乗っ取られたローマ帝国のように、帝国(強国)が影響下に置いた地域からの思想や人々の流入によって変質したりカオス化する前例は多々あります。

青年ヒトラー (平凡社新書)

青年ヒトラー (平凡社新書)

十九世紀後半以降、首都ウィーンにはこれらの諸言語*2を使う多種の民族が流れ込み、アドルフが見聞したように、まさに諸民族、諸言語そして諸文化のカオスを形成していたのであった。それに加えて、ロシア、東欧でのポグロム(迫害)を逃れて流入してきた東欧ユダヤ人の数が急増し[中略]路上で異様な雰囲気をかもし出すととに、反ユダヤ的風潮も盛り上がっていたのである。

こうした実情を目の当たりにした多感な青年アドルフが、オーストラリア・ハンガリー帝国の在り方を恐ろしく嫌い、そうした諸民族混淆の帝国の衰退、崩壊を熱望したのは当然であった。

国民国家に亀裂を入れるのは海外から流入する社会の底辺層だけではありません。グローバルエリートも「自分は国際社会の一員→庶民とは別の集団」と考えるようになっています。植民地でリッチに暮らす白人が現地人(土人)に所得再分配をする気にならなかったように、現代のグローバルエリートも庶民生活を改善する気などさらさらないのです。*3

www.independent.co.uk

But today, too many people in positions of power behave as though they have more in common with international elites than with the people down the road, the people they employ, the people they pass in the street.

But if you believe you’re a citizen of the world, you’re a citizen of nowhere. You don’t understand what the very word ‘citizenship’ means.

エリートには怒れる大衆が「反乱を起こした土人→鎮圧対象」のように見えているのです。*4

www.newsweekjapan.jp

まだ正気の人々と怒り狂った人々、エリートと大衆の分断だ。極右やトランプが無知な大衆をだますなら、目を覚まさせるのがエリートの役目だ

The Brexit has laid bare the political schism of our time. It’s not about the left vs. the right; it’s about the sane vs. the mindlessly angry.

英米の方向転換の背景には、このままリベラル介入主義を続けると、その副作用=多文化共生という名のカオス化によって国民国家が内部崩壊しかねないとの危機感があると見られます。

第一次世界大戦から1世紀が経過して、再び国民国家が見直されてきたわけですが、自由貿易外国人労働者受け入れに積極的な極東の某国(政権)はこのままカオス化に突き進むのでしょうか。*5

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

*1:強調は引用者、以下同。

*2:[引用者注]チェコ語ポーランド語、ウクライナ語、ハンガリー語ルーマニア語スロベニア語、イタリア語など。

*3:エリートと途上国からの移民には国境や国籍にこだわらないグローバル市民(citizens of nowhere)の共通点があります。彼ら"G"が各国のローカルな庶民"L"を圧迫する構図が先進国に広がっていますが、これに気付いている日本人は少ないようです。

*4:トランプ当選は「土人に政権を奪われた」ようなものなので、昔の白人=文明人=今のリベラルが怒り狂っているわけです。文明人の未開人に対する暴力は正当化されます。

*5:国民国家の維持には人口再生産が必要ですが、リベラル路線は少子化を促進します。