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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

「人口減少」と嘆く前に知っておきたい現実的な話

社会学者の赤川学が当ブログと同じようなことをインタビューで語っているので、過去記事の繰り返しになりますが検証します。

前編の非婚化のメカニズム解説は概ね妥当です。

これまで私たち社会学者の間では、女性はみんな「上昇婚」を目ざすものだと考えられてきたんです。

Cultural universalである女の上昇婚志向*1は、多くの社会学者が主張するような「社会的に作られた」ものではなく、自分と子供を養う男*2を確実にゲットするために「自分未満のスペックの男は“いい男”と認識しない」とhard-wiredされたものと考えられます。自分との比較のため、低スペックの女から見れば“いい男”でも、高スペックの女には“いい男”には見えなくなります。*3

小倉千加子は「結婚はカネとカオの交換」と言っていますが、それよりも「カネと生殖(セックス・出産・育児)の交換*4」と言うのが妥当です。男のセールスポイントは「女にとって魅力的な経済力」、女は「若い肉体」なので、男の経済力の相対的低下と女の婚活活動の高年齢化は取引不成立を増加させるのです。

人間性はどこから来たか―サル学からのアプローチ (学術選書)

人間性はどこから来たか―サル学からのアプローチ (学術選書)

多くの社会で、配偶者の選択の基準は男女で異なる。新夫に求められる資質は、「よき提供者」たることで、将来経済的・社会的に高いステータスにつくことが求められる。一方、新婦に求められる資質は、「よき繁殖者と働き手」である。

一方、後編の分析には事実誤認があります。

よくフランスや北欧が「理想郷」みたいに語られますよね。子育てに関する社会保障が充実していて、長時間労働がないのでみんながワークライフバランスを実現できてる、みたいな。

でも、あれって、「みんなが結婚して子どもを産むこと」に最適化した社会なんです。*5

フランスや北欧で生じているのは「みんなが結婚して子どもを産む」とは逆の現象、特に生涯無子の男の増加です。

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労働者に①一流企業で満足して働く、②二流企業で我慢して働く、の選択肢しかなかったところに、③高額のベーシック・インカムを追加すると、②から③へのシフトが生じ、二流企業は人手不足で淘汰されてしまいます。

下の記事で大企業=高スペック男、中小企業=低スペック男、従業員=女と置き換えると、フェミニズムと合理主義の北欧社会の冷徹な本質が見えてきます。

http://globe.asahi.com/feature/100628/01_2.html

景気が悪くなると「中小企業支援」が繰り返される日本と違い、スウェーデンは、稼げない企業を淘汰する冷徹な面をもつ。

そのモデルが、従業員500人以上の企業に、被用者の5割が集中する大企業中心の経済構造をつくり出した。

企業と政府から女にカネが流れるようになったことで、女が「永久就職」しなくても生活できるようになったために、「カネと性の交換」における男女のパワーバランスが女優位に傾いたわけです。フェミニズムが支配する北欧は、女の立場を強めることで男の優勝劣敗を促進することに最適化した社会なのです。*6*7

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日本でも、経済が「全員が等しく貧困化」ではなく「少数の勝ち組は安泰/負け組が増大」の二極化(格差拡大)となっているように、小倉千加子が言うところの「男性の危機」は、性的魅力and/orカネのない男に集中しています(→男の二極化)。*8

結婚の才能

結婚の才能

男性の男性としての自尊心はその年収とパラレルであることが公式化される「男性の危機」に際し、誰も異議申し立てもしなければ怒りもしなかった。

togetter.com

赤川のスウェーデンに関する説明にも問題があります。

おもしろいデータがあるんです。スウェーデンは政府が子どもの社会福祉に関する支出を増やすと、子どもは増え、減らすと子どもも減るんです。つまり出産、保育、教育などにいろいろと手当がつくことが、女性にとって産むインセンティブになっているわけです。

1990年代のTFRの急落は主に不況と先行き不透明感からの出産の先送り、2000年代の反転上昇は先送りしていた出産の実行によるものです。給付を含む所得は出産のタイミングには影響しているものの、コーホート完結出生率すなわち「最終的に何人産んだか」はほぼ一定です。

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もっとも、日本についての

少子化を食い止めようと、結婚して子どもを産みやすくなるような経済的施策をしても、結婚する人も出産する人も全然増えません。*9

は妥当な見方です。東南アジアからメイドを導入するなど、女が「結婚して子どもを産みやすくなるような経済的施策」を積極的に進めている香港やシンガポールも、女の要求水準が高まったことによる非婚化(→少子化)にはお手上げ状態です。*10

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要求が肥大化した香港のハイスぺ女(⇩)。

qz.com

A quick survey of my single female friends confirmed that they are unwilling to settle for less—and sadly Kong men are the worst to date, a conclusion that has nothing to do with their finances or physique.

“Kong men are not gentlemen at all,” said Lung. “If you go on a date, you pick up the girl, open the door for her, pick up the bill, and send her home. That’s very basic. And yet I’ve never seen a Kong man who has done it. But Western men do. I’m an international man eater, so I aim at a global market.”

Twenty-year-old university student Diana Lam described Kong men at her age as “toxic.”

“They seem to be like ‘kidults.’ They are obsessed with video games and figurines. If a Kong man does not have a promising career or the ability to take care of a woman, Hong Kong women will not date him,” she said. *11

高望みは止めて現実的になりましょう(⇩)。

So ladies, if you don’t want to end up as an old maid and die alone, you must hurry and “get real.

The message to women is clear: Lower your expectations, even though you might deserve better.

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赤川のように現実を直視するのではなく、「女性が社会に出て働き、家庭と仕事が両立できれば少子化が止まる」とデマを拡散するリベラル学者がいますが、デンマーク有識者が言うように「女性の地位向上、男女平等が進むと少子化が進むのです」。

www.sankei.com

女性が社会に出て働き、家庭と仕事が両立できれば少子化が止まる」という認識を持っている日本人が多いと思いますが、実態はその逆。デンマーク有識者は「少子化の解決にはつながらない」と明確に語っていらっしゃいました。

www.sankei.com

優秀な女性が自分以上の男性を探すため、ミスマッチが起こり、晩婚化がますます進んだようです。この女性の経済的自立も離婚率をあげた原因だろうとのことでした。「女性の地位向上、男女平等が進むと少子化が進むのです」とおっしゃったのが印象的でした。

jbpress.ismedia.jp

女性の高学歴化による社会進出拡大で晩婚化、未婚化が急増していることが背景にある。

彼女によると、タイ、特に都市部の高学歴の女性は本当に結婚しないという。

彼女曰く、「皆、結婚したくないのではない。だけど、特にタイの男性は働かないし、女性が家計を支えて働いているケースも多い。タイに理想の相手がいないだけ。今の生活を切り詰めてまで、という結婚願望がないとも言えるかな」とあっけらかん。

女には「男を養う」がhard-wiredされていないので、男の経済力を絶対的かつ相対的に高めない限り、非婚化と少子化と日本の衰退は止められないでしょう。*12*13

赤川は以前「子どもが減って何が悪いか!」と勇ましいことを言っていましたが、子供が減るとこんな悲惨な未来が待ってるのです(⇩)。

totb.hatenablog.com

子どもが減って何が悪いか! (ちくま新書)

子どもが減って何が悪いか! (ちくま新書)

さらに詳しくは過去記事をどうぞ。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

保育園義務教育化

保育園義務教育化

子育て支援と経済成長 (朝日新書)

子育て支援と経済成長 (朝日新書)

*1:「上」であることよりも「下」でないことが重要なので、特に女の経済力が十分に高い場合は同レベルでも可。

*2:「夫が食料調達/妻が育児」が人間の基本形のため。男は乳を出せないため「妻が食料調達/夫が育児」は不可能。

*3:偏差値60は偏差値50から見れば優秀だが、偏差値70にはバカに見えるということ。

*4:平均的容姿の女をカネを払って「買う」男はいても、平均的容姿の男を買う女はほぼ皆無です。これは女にとって普通の男が「カネを払うに値しない」ことを意味します。つまり、女は男を養わないということです。

*5:[引用者注]結婚には非婚同居(cohabitation)を含んでいると思われます。

*6:弱者へのアファーマティブ・アクションが「強者の中の弱者」に対する攻撃になることと同じ。

*7:北欧と言っても国によって差があります。最も過激なのがスウェーデン、最も穏健なのがフィンランドと言えそうです。

*8:なので、「こども保険」は弱者から強者への所得移転になります。

*9:色は引用者、以下同。

*10:1988・2000・2012年の跳ね上がりは辰年効果によるもの。

*11:強調は引用者。

*12:「男は女を養うが、女は男(息子を除く)を養わない」非対称性は、「人間は猫を養うが、猫は人間を養わない」と似ています。人間にとって、猫は鼠を捕ってくれたり、精神的に癒してくれるなどのメリットを与えてくれるので、リソースを割いてでも「養う」意義がありますが、猫には自分のリソースを割いてまで人間に尽くすメリットはありません。人間から得られるものが無くなると去っていきます。

*13:例外的に女が男を養うケースでも、大半は男に「カネでは買えない価値がある」ので、本人的には一種の「上昇婚」です。