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[グラフ]消費税率引き上げ前後の内需の推移

アベノミクス第一の矢の量的・質的金融緩和が空振りだったためか、経済停滞の戦犯は日本銀行ではなく財政再建固執する財務省との見方が一部で強まっているようです。

財務省主犯説を唱える論者が状況証拠としているのが、日本経済が本格的に停滞に突入したのが、消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年度だったことです。

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消費税率引き上げが景気にマイナスに作用することは確かですが、それを「失われた20年」の主因とするのは誤りです。1997年度の急激な景気後退が10-12月期から翌年1-3月期に生じていることは、11月に発生した金融危機(三洋証券破綻→北海道拓殖銀行破綻→山一證券自主廃業)こそ経済停滞の引き金だったことを示唆しています。

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1999年度の経済企画庁『経済白書』で 

長期的な要因としての日本的な企業経営の行き詰まりが、97年秋以降の不況の深刻化とともに、より逼迫したリストラ圧力となって感じられるようになってきた。 

企業は規模より収益性重視へと経営の重点を急速に移しており、これがリストラ圧力の高まりの背景になっている。

将来の需要や発展可能性について控えめに評価し、これに必要な経営資源以外は整理をしようとの態度が強く、このことが雇用滅少などを通じて景気の足どりを重くしている。すなわち、企業のリストラは当該企業にとっては体質改善につながる一方、経済全体では雇用削減などを通じて不況を深刻化させかねないというジレンマが存在している。

と分析されているように、金融危機による不況の深刻化は、企業のリストラクチャリングを促進させました。その結果、企業が日本的経営から株主資本主義に大転換したことが、日本経済を内需主導で成長できない構造に変えてしまったのです。

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「失われた20年」の主因は消費税・戦犯は財務省だと思われている限り、「日本経済を成長させない仕掛人」であるネオリベ勢力は、「改革派」である自分たちのレントシーキングを「成長戦略*1」と銘打って堂々と進められます。財務省批判は「日本国民の一億総賃金奴隷化」を進めているネオリベ勢力を利することになるのです。*2

財務省財政再建に拘る理由⇩)

日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか

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竹中 じつはプライマリーバランスという考え方は、2001年に「骨太の方針」で私が持ち込むまで、政府内にはありませんでした。だから当初、私が議論を始めても、誰も意味を理解できませんでした。

企業の収益性や資本効率重視と日本経済の長期停滞の関係については下の記事で分析しています。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

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*1:アベノミクスの本命はグローバル投資家とその眷属のために日本国民を一億総賃金奴隷化する第三の矢(構造改革・成長戦略)であり、第一の矢(金融政策)と第二の矢(財政政策)はそれをカモフラージュするためのものだったのでしょう。

*2:「改革派」のネオリベ勢力と比べると、財務省はlesser evilです。