日本経済が好調な証拠の一つとされているのが雇用者数の増加です。
男は金融危機が発生した1997年のピークを下回ったままですが、女はその時点から400万人以上増加しています。
60代では男女ともに過去10年間で約150万人増加しています。
2016年には60歳代の男の1/2、女の1/3が雇用者となっています。*1
これを「一億総活躍」「女が輝く」とプラスに評価するか、「60代になっても生活のために働かなければならない」とマイナスに評価するかは人それぞれでしょうが、現政権やその周辺の人々は前者だと考えられます。
安倍首相が小泉内閣の官房長官時代にタクシーに乗車した際のエピソードだそうです。

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乗車すると運転手さんに、「お、安倍ちゃんかい」と話しかけられて、「あ、ちょっとまずいかな」と思ったらしいんですけれど(笑)、実はその運転手さんは、リストラにあってその仕事に就いた人でした。
で、運転手さんはこんなことを言っていたそうです。
前からタクシーの運転手をしていた息子に勧められて、自分も運転手になった。規制緩和でどんどん車の数が増えて、息子の給料はずいぶん、そう三割くらいかな、下がった。でも、私が働けるようになって、家全体としての給料は上がったんだ。「これが規制緩和だよね」と。
これはものすごくわかりやすい例で、確かに競争が厳しくなると、辛い思いをする人が出てくる。しかし、結果的に社会全体としての雇用は増えている。*2
補足
このタクシー運転手の息子が既婚か未婚かは不明ですが、未婚であれば、給料の大幅減少によって結婚できない確率が上昇したことは確実です。
「一億貧乏暇なし」の共犯はネオリベラリズムとフェミニズムです。フェミニズムの理想とは「柔軟な資本主義」です。www.theguardian.com
One contribution was our critique of the "family wage": the ideal of a male breadwinner-female homemaker family that was central to state-organised capitalism. Feminist criticism of that ideal now serves to legitimate "flexible capitalism".
世帯を養える賃金を男1人に払う家族給に支えられた 「男性稼ぎ主モデル」こそ、女性差別の根源なのですよ。
正規雇用者の給料を下げて、夫に600万円払っているのなら、夫に300万円、妻に300万円払うようにすれば、納税者も増えます。

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