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[紹介]外人株主と人件費抑制

「失われた20年」における企業行動の顕著な変化は、

  • 人件費の抑制
  • 配当金の急増

です。

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今回は、これに関する分析を紹介します。

りそな銀行エコノミスト・ストラテジスト・レポートでは、政府の後押しもあって株主の声が大きくなったことを理由としています。

北野一の分析と同じです。

危ういROEブーム (週刊エコノミストebooks)

危ういROEブーム (週刊エコノミストebooks)

パイが一定なら、「ROEを上げよ」「賃金を上げよ」という両方の要求を実現するのは無理。であれば、声の大きいほうが勝つ。*1

「株主」の具体像ですが、昨日(7月20日)の日本経済新聞朝刊「大機小機」の「IR狂騒曲」では、

いつ頃からだろうか、外資投資銀行に促され、あたかも遣唐史のごとく日本企業のトップ達は、ニューヨーク、ボストン、ロンドン、エジンバラなど投資家の集積地を定期的に訪れるようになった。

と、日本企業が外人投資家参りするようになったことを取り上げています。外人の株式保有比率が銀行を上回ったのは「失われた20年」に突入した頃です。

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早稲田大学商学部広田ゼミのゼミ生論文「株主構成が付加価値の分配に与える影響」では、 

外国人保有比率が上昇すると企業業績から配当として株主に還元される額が増大し、逆に従業員に賃金として還元される額が減少するということがわかった。

「物言う株主」の代表格である外国人株主には配当分配を促し人件費を抑制する効果があり、年々外国人株主保有比率が上昇するにつれてその効果の影響が大きくなっているからではないかと推測する。

と分析しています。

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「失われた20年」の主犯は①日本銀行、②財務省、③アクティビスト投資家(物言う株主)、④その他のどれでしょうか。*2

ちなみに、経済産業省「伊藤レポート」をまとめた伊藤教授の主張はアクティビストそのものです。

toyokeizai.net

投資家と研究者で立場は違うが、両者の主張には共通点が少なくない。

日本政府(少なくとも安倍政権)は、労働者ではなくアクティビストの利益のために動いていると言えそうです。安倍首相の目標は外人投資家が「儲かる」ようにすることです(⇩2013年9月25日ニューヨーク証券取引所における安倍首相のスピーチ)。

今日は、皆さんに、「日本がもう一度儲かる国になる」、23年の時を経てゴードンが金融界にカムバックしたように、「Japan is back」だということをお話しするためにやってきました。

日本で海外の選手が活躍し、米国で日本の選手が活躍する。もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました。

失われた〈20年〉

失われた〈20年〉

「企業は、株主にどれだけ報いるかだ。雇用や国のあり方まで経営者が考える必要はない」*3

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

*1:[引用者注]声の大きいほう=株主

*2:最近の経済学者はミクロ的基礎付けを重視して「どマクロ」を軽視するのに、日本経済を分析する際にはなぜかミクロ=企業行動を無視してマクロ=財政金融政策一辺倒になるようです。

*3:1994年2月25日の「舞浜会議」におけるオリックス・宮内社長の発言。