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[お勧め本]服部茂幸『偽りの経済政策』

日本経済に関心がある人にお勧めする本です。

終章「アベノミクスポスト真実」より結論です。

アベノミクスの真実は単純である。日銀の異次元緩和はデフレ脱却にも、実体経済の回復にも失敗した。延べ就業時間は微減か、横ばいである。就業者の増加は、短時間就業者が増加したことと、労働生産性上昇率がほぼゼロになった結果である。

円安は企業、特に輸出企業の利益を急増させた。しかし、企業、特に巨大企業は、巨額の利益を設備投資や賃上げに回さず、内部留保に回している。今では政府・日銀の関係者ですら、それに対する不満を述べる。けれども、こうした状況は以前からの話である。巨額の内部留保を蓄えている企業の利益を急増させても、内部留保がさらに増加するだけだということは予想されていたことである。

こちらは岩田規久男日本銀行副総裁就任直前の主張(2016年度の報酬は2775万2千円)。

日本経済再生 まずデフレをとめよ

日本経済再生 まずデフレをとめよ

デフレから脱却して穏やかなインフレに移行するには、まず、日銀がインフレ目標の実現に強くコミットした上で、大量のマネタリー・ベース(日本銀行当座預金と現金)あるいはマネタリー・ベースの一部である日銀当座預金を大量に供給することが必要である。

過去の歴史的事例を見ると、金融政策をはっきりとリフレ政策にレジーム転換すれば、1年から遅くても2年以内にデフレから脱却できると考えられる。

大間違い確定です。

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以下、参考グラフです。

就業者1人当たり実質GDPは停滞しています。このことは、就業者が減少すれば経済が縮小に向かうことを示唆しています。

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(2006年以降を拡大)

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異次元緩和による大幅円安にもかかわらず、輸出数量は伸びませんでした。昨年末からの増加は中国需要拡大に牽引されたものです。

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そのため、製造業の就業者は自動車産業を除くと大きく減少しています。就業者増加の中心は、アベノミクスとは無関係の高齢化が原因の医療・介護です。

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「電子立国」は瓦解。

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企業が史上最高益を更新しても人件費と設備投資には回らず、内部留保が主に投資有価証券の株式として積み上がる一方です。

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就業者増加の中心は低賃金・短時間労働者の女と高齢者で、労働市場からドロップアウトした働き盛りの男の割合は高止まりしています。 

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残念ながら、アベノミクスは起死回生の策ではなかったということです。一瞬期待させたという点では台湾沖航空戦のようなものだったのでしょう。

少子化を30年以上放置し、過去20年間は賃下げ・非正規雇用化による自国民窮乏化公共投資半減を国策として推進した東アジアの島国に、「最後の転落」が迫っています。*1

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最後の転落 〔ソ連崩壊のシナリオ〕

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*1:冷静に考えると、日本政府が日本国民の味方ではないことは明らかでしょう。それが安倍首相の「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」の意味するところです。