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[グラフ]出入国者数と観光立国

法務省出入国管理統計」から出国日本人と入国外国人の人数を比較します。

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一般的に、海外旅行者数は経済的な豊かさを反映します。実際、名目GDPが停滞を続ける過去20年間、出国日本人数も伸び悩んでいます。

一方で、入国外国人数は安倍政権になってから急増し、2015年には出国日本人数を上回っています。

このことは、日本の相対的な経済水準が急低下したことを意味します。

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その主因は、プラザ合意前の水準に逆戻りした大幅な円安です。

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中国人や東南アジア人にとっても「リーズナブルな旅行先」になるほど相対的経済水準を低下させることを「観光立国」と称して歓迎しているのが現政権です。

外国人旅行者に不便な規制や障害を徹底的に洗い出し、観光立国をさらに加速してまいります。*1

政治家が「日本大安売り」を推進する背景には、このような(⇩)人物の影響があるとみられます。

観光立国の恐ろしさは、目先の銭勘定ではプラスでも、過去の遺産や自然で稼ぐことに特化した経済構造になることで、強みだった技術力を喪失し、ギリシャやエジプトのような先進国とは言えない国になってしまう可能性が高いためです(どちらも昔は文明国)。

資源の呪い - Wikipedia

いったんこのコースに入ってしまうと、観光産業が相対的な競争力を強めていく正のフィードバックが働くため、「ギリシャ化」から脱け出せなくなります。

また、アトキンソン

外国人による「国際観光収入」によって地方のマイナスをカバーするというのは、世界的な常識です。インバウンドで地方都市がよみがえり、雇用にもつながったというケースは枚挙にいとまがありません。

と主張していますが、交通インフラが貧弱な地方を外国人観光客が継続的に多数訪れる可能性は低く、大半は有名観光地を巡るだけでしょう。その弊害は既に表れています。

これは日本人や京都人が特に排外的だからではなく、ヨーロッパの一部ではそれ以上の反発が広がっています。実際に行ってみれば分かりますが、バルセロナヴェネツィアやパリなどの有名観光地周辺は観光客だらけで異様な雰囲気です。

民泊を解禁したら、得をするのは不動産のオーナーで、住民は家賃が高騰して損をする、という事態も表れています。

結局のところ、観光立国を推進すれば、一部の資本家(投資家)は儲かるが、日本経済は「ギリシャ化」する可能性大です(あるいは夕張市の成れの果て)。多くの日本人が、現在の途上国の観光地で働く低賃金労働者のようになるということです。*2

ところで、小泉首相(当時)の「米百俵の精神」は多くの日本人に支持され、公共事業大幅削減や賃下げにつながったわけですが、

明治初期、厳しい窮乏の中にあった長岡藩に、救援のための米百俵が届けられました。米百俵は、当座をしのぐために使ったのでは数日でなくなってしまいます。しかし、当時の指導者は、百俵を将来の千俵、万俵として活かすため、明日の人づくりのための学校設立資金に使いました。その結果、設立された国漢学校は、後に多くの人材を育て上げることとなったのです。今の痛みに耐えて明日を良くしようという「米百俵の精神」こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないでしょうか。

新世紀を迎え、日本が希望に満ち溢れた未来を創造できるか否かは、国民一人ひとりの、改革に立ち向かう志と決意にかかっています。*3

その緊縮政策の結果、経済がボロボロになってくると、今度は「稼ぐ力」と称して外国人観光客が落とすカネにすがろうという支離滅裂な経済政策です(貧すれば鈍する)。

長期的な日本再興のために、目先の金儲けに走らないことが本来の「米百俵の精神」のはずなのですが、残念ながら、ビジネススクールで洗脳された今の日本のエリートは、目先の金儲けを「正しい」政策と本気で信じているのです。

アメリカのグローバリゼーションとは、世界を自国のルールに従わせることであり、世界のお金を自国に吸い上げることです。その対象には、もちろん日本も含まれます。

私は20代後半でしたが、考古学をやっていたおかげで洗脳されずにすみました。100~1000年単位の時間軸でものを考える習慣がついていたから、3年とか1年で利益を上げると言われても、短すぎてピンと来ないのです。まして四半期決算など、まったく馬鹿げたものにしか思えなかったのですが、学生たちは、ほとんど全員が洗脳されていました。 

幻滅 〔外国人社会学者が見た戦後日本70年〕

幻滅 〔外国人社会学者が見た戦後日本70年〕

官庁、大企業が社費で、毎年、新社員の一番優秀な人を幾人か、ときどきはヨーロッパだが主として米国へ、MBAや経済学・政治学修士・博士号をとりに送られた人が大勢いた。

その「洗脳世代」の人たちが、いよいよ八十年代に課長・局長レベルになり、日本社会のアメリカ化に大いに貢献できるようになったというわけだ。

ちなみに、アトキンソンの「生産性」を正しく理解していません。

totb.hatenablog.com

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*1:2013年12月19日・安倍内閣総理大臣

*2:観光業で高賃金を得られると思うおめでたい人もいるようですが。

*3:2011年5月7日の所信表明演説