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[再掲]安倍首相が誇る「名目GDP+50兆円」の中身

8日の党首討論会で

立憲民主党の枝野代表の質問に、

「日本の経済は1990年ころ、ずっと低成長が続いています。その主たる要因はどこにあるんですか。輸出ではなくて内需、国内消費にあるのではないかと思いますが、それについての考え方。そして、国内消費を拡大させるためには、実は格差の拡大というのはむしろ貧困を増やし、購買力を減らして、消費にマイナスになっているのではないか、このあたりについて、消費性向についてのご認識と合わせて、ご説明をいただきたいと思います」

安倍首相はこのように答えました。

「日本の経済は1997年に536兆円、これピークになります。ずっとだらだら落ちていくんですが、一時的に上がり、第1次安倍政権のときにこれに近づいたのですが、その後ずっと下がっていって、われわれが政権を取る前、民主党政権のときには、493兆円まで落ちました。それに対して私たちは3本の矢の政策で挑んで、そしてそれは543兆円、久々に過去最高を記録をし、われわれが政権を取って、50兆円、増やしています」

この数字は名目GDPの四半期季節調整系列のことで、1997年Q4(536.6兆円)、2012年Q4(492.8兆円)、2017年Q2(542.8兆円)です。この三つと麻生政権→鳩山政権の2009年Q3を下のグラフではで表示しています。

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これは「瞬間風速」なので、年度ベースで比較すると、2012年度→2016年度で+43.3兆円です。消費税の駆け込み需要があった2013年度から2016年度でも30.6兆円です。

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グラフからはアベノミクス大成功と言えそうですが、中身を詳しく見ると、そうとは言い難いことが分かります。少し前の記事の繰り返しになりますが、改めて検証します。 

GDP国内需要と純輸出に分けると、純輸出が2013年度→2016年度で+19.1兆円(輸出+5.8兆円、輸入-13.3兆円)で、輸入減少の寄与が大きくなっています。

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財務省「貿易統計」では、鉱物性燃料の貿易赤字が14.6兆円縮小しています。これは主に国際商品市況の下落によるものなので、アベノミクスの成果とは言えません。

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名目GDPには付加価値型税が含まれるので、2014年度の消費税率の引き上げによる増収分もアベノミクスの成果とは言えないことになります。消費税収は2013年度→2016年度で+8.4兆円です。

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名目GDP増加の相当部分が鉱物性燃料価格の下落と消費税率引き上げによるものになります。この二要素の影響を除いた「国内需要―付加価値型税」の名目値は、民主党政権が発足した2009年度からの内需拡大が、2014年度以降止まってしまったことを示しています。

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政権発足からの実質国内需要の増加ペースは、民主党政権が安倍政権を上回っています。

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民主党政権初期はリーマンショック→世界同時景気後退からのリバウンド局面なので、増加ペースが速くて当然ではありますが、それを考慮しても、安倍政権になって実質国内需要の伸びが加速していないことは確かです。

この状況で消費税率を10%に引き上げて大丈夫でしょうか。

補足

冒頭の枝野代表の疑問に答えると、消費低迷の原因は、企業が「資本の飢餓輸出のための人件費抑制」をするようになったためで、その背景には資本効率と株主利益の最大化を目標とする株主資本主義があります。

totb.hatenablog.com

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