Think outside the box

夏眠中|I shall return.

リフレ派の内輪もめ

リフレ派の上層部で内輪もめが起こっています。

教祖の一人の中原元日銀審議委員ですが、

  • QQE前:マネタリーベースを大量供給せよ
  • QQE直後:「あまりに急激な金融緩和で驚いた」
  • 1年半後:マネタリーベースを増額せよ
  • 3年後:物価上昇率とマネタリーベースの関係は「インフレ期待に働き掛ける以外は、まだ理論的に証明されていない」

と、発言内容を蝙蝠のように二転三転させています。

「マイナス金利導入→預金金利低下→家計消費抑制→インフレ期待低下」のロジックも無理筋です。金利はそれ以前から超低水準でした。

2016年1月に、マイナス金利政策を導入したことです。長期金利は下げましたが、国民は預金に利息がつかないということで消費を控え、これから物価が上がっていくというインフレ期待をがくんと下げてしまいました。

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マネタリーベースが500兆円に迫っても経済状況が予測から程遠いために、責任回避を狙ったものと見られます。 

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名目GDPが最大となったことを金融緩和の成果としていますが、

「日本のGDP国内総生産)は確実に増えました。日本の名目GDPは1997年に533兆円をつけたのが長らくピークで、その後は2009年から2012年にかけて500兆円を割り込んでいましたが、2016年にはようやくピークを超えて538兆円にまで回復しました。

名目国内需要(付加価値型税を除く)は2013年度以降停滞が続いています。

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アベノミクスが大成功に見えたのは、民主党政権から続くリーマンショック後の自然回復に

  • 消費税収の増加(2013→2015年度で+8.9兆円)
  • 鉱物性燃料価格の下落(鉱物性燃料の貿易赤字は2013→2016年度で11.4兆円縮小)

が重なったためで、内需は2014年度以降停滞気味というのが実情です。アベノミクスの成果とされる労働市場の改善も、失業率や有効求人倍率民主党政権からのトレンドの延長線上にあります。*1

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企業は大幅増益になりましたが、人件費はほとんど増えず、経済の好循環が始まりません。

やはり大きかったのは日銀の大規模金融緩和です。為替が円高から円安に転換したことで企業の利益が大きく膨らみ、日本企業全体では4年連続の増益を達成した。

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大企業が雇用重視から「株主利益を最大化するために人件費を最小化する」株主重視経営に転換したためです。*2

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このことを見逃して、日銀当座預金の豚積みを増やせばすべて解決する、と誤診したことがリフレ派の失敗でした。

totb.hatenablog.com

日銀はだれのものか

日銀はだれのものか

*1:民主党政権の経済運営が稚拙だったことは間違いありませんが、安倍政権も五十歩百歩だということ。

*2:リフレ派は何でもかんでも「デフレが原因」という傾向がありますが、この人件費と配当金の推移を「豚積みが過少だったから」で説明できるでしょうか。