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[グラフ]アメリカの所得分配

日本ほどではないものの、他の先進国でも賃金上昇率が鈍化しています。

そこで、アメリカの国内総所得(GNI)の分配の推移をグラフで確認します。

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賃金・報酬は1970年代半ばから減少し、付加給付(医療保険等)は1990代半ばから横ばいに転じています。

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営業余剰の内訳は、1990年頃でトレンドが反転しています。 

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企業の税引前利益とその分配です。

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雇用者報酬、法人税、配当金を比較します。1980年代に構造的変化があったことが見て取れます。 

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労働者から株主への所得移転が顕著です。分配の優先順位が株主>労働者になったことが、賃金上昇率の低迷を引き起こしていると考えられます。

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小室直樹

アメリカなどの資本主義企業は共同体ではないので、各構成員の報酬は、実質的に直接配分に近い。もし各メンバーの働きに応じて報酬を与えなければ、不平な人はこの企業を去って別の企業に就職して「正当な」報酬を得るであろう。 

どの企業に属していても、各人の報酬は、その人自身の能力に応じた物となる(限界生産力に等しい物となる)。

即ち、企業が介在しても、直接配分と等しい物となるのである。経済法則は、市場を媒介することによって、一般的に貫徹しているのである。 

と主張していましたが、これが「ソ連は労働者の天国」「中国には蠅も蚊も泥棒もいない」「移民を無制限に受け入れれば多様性に溢れた理想の社会が実現する」と大差ない妄言であることは明らかでしょう。*1

参考 

「株主利益の最大化のために人件費を最小化」では日本企業も負けていません。

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企業業績が拡大しても(圧力増大)、株主還元が優先されるため(ガス抜き→圧力低下)、賃金上昇に波及しません。これが経済の好循環が止まった主因です。

企業が株主利益の最大化のために人件費を抑圧する→家計消費が低迷する→需要増が見込めないので設備投資も低迷する→利益は配当金と内部留保(→対外直接投資等)に回る

totb.hatenablog.com

*1:このような妄言に感化されて「労働者から株主へ」の構造改革を支持してしまった意識の高い日本人が大勢いるのでしょう。共産主義が失敗したからといって、その対極の新自由主義市場原理主義が理想の社会を作るとは限りません。世の中は原理主義に陥りがちなintelligent foolが考えるほど単純ではありませんでした。