Think outside the box

夏眠中|I shall return.

グローバル企業の成長によって干からびる日本

日本の名目GDPは消費税率引き上げ+アジア通貨危機金融危機があった1997年度から長期停滞を続けています。

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人件費もほぼ同じ推移をしています。*1

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しかし、企業の拡大はペースダウンしたものの継続しています。

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固定資産を企業規模別に見ると、大企業が増加しています。

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 1997年度=100とすると、2016年度は

  • 全規模     :固定資産138,人件費99
  • 資本金10億円以上:固定資産170,人件費94
  • 資本金10億円未満:固定資産110,人件費101

です(付加価値税を除く名目GDPは99)。

長期停滞入りの直後から、大企業の固定資産の構成が激変しています。

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大企業は金融投資を最大化するために人件費と設備投資を最小化しているようてす。

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日本は人口減少のために需要の増加率が海外よりも低くなるざるを得ません。この条件下で企業がグローバル経営を本格化すれば、必然的に国内市場のネグレクト(→国内支出の最小化)が促進されます。

ドラッカー名著集15 マネジメント[下]―課題、責任、実践

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グローバル経済が市場を統合する存在になったからには、もはや生産の主体は国ではない。製品は世界中どこでも同一である。あるいはほとんど同一である。移動するのは生産手段である。

グローバル企業とその戦略および行動を規定しているものは、生産要素ではないということである。それらのものを規定しているもの、それらのものの動因となっているものは需要である。グローバル企業とはすべて、マーケティングによる事業である。

人口増加率の差≒需要増加率の差が浸透圧のように作用して、日本は干からびているのです。*2

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補足

日本銀行の異次元の金融緩和(ブタ積み320兆円)が空振りに終わったことから、財政出動を求める声が強まっていますが、日本経済の成長を妨げているグローバル企業の行動を変えない限り、効果は一時的なものにとどまり、QQEと同様の失望に終わるでしょう。バケツの底に穴が開いたままでは、いくら水を注いでも満たせません。*3

「経済政策」はこれでよいか―現代経済と金融危機

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政府が景気政策を打ち、その結果、企業は経営に余裕が出ると、投資のより多くが海外にという傾向になる。

こうした民間企業の行動を放置して財政に支援を求めても効果が生まれない。

ケインズが、有効需要政策を採るなら国際資本移動の面にある程度の障壁を考えていたことを忘れてはならない。 

*1:財務省「法人企業統計」より全産業(金融業、保険業を除く)について。

*2:政府が企業に「稼ぐ力」を高めることを奨励すればするほど、「脱水」が進行する。

*3:投資の自由化を進めるTPPは日本の「ミイラ化」を促進させることが確実です。