麻生財務大臣が、企業が給与や設備投資を抑えて内部留保を増やしていることを反省点に挙げたそうです。
安倍政権5年 麻生太郎財務相「内部留保がもっと動いていれば」 https://t.co/fHLzdWiDfW
— 産経ニュース (@Sankei_news) 2017年12月26日
財務省 「法人企業統計四半期別調査」で全産業(金融業、保険業を除く)の動向を確認します。
経常利益が右肩上がりで増加しているのに対して、人件費と設備投資は循環的増加局面にあるものの、横ばいトレンドからは脱け出せていません。

高水準の利益から生まれる潤沢な内部資金は、主に投資有価証券と現預金に投資されています。

内部留保の増加を「企業が資金を退蔵している」と誤解している人も少なくないようですが、そうではなく、企業がより高い投資収益率を求めるようになったことの反映です。

株主が求める世界標準のROAやROEを達成するためには、地道な設備投資よりも金融投資の方が効果的に見えるためです。「成果主義」が企業のfinancializationを促進しています。
Are Corporations’ Financial Investments Slowing Growth? https://t.co/qxttplYcph
— New Thinking (@INETeconomics) 2017年8月9日
近年、増加が著しいのが対外直接投資ですが、

「海外投資増加&国内投資と人件費の抑制」の構図は、レーニンの約100年前の世界経済分析そのものです。

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資本主義が資本主義である限りにおいて、過剰資本は、その国の一般大衆の生活向上に振り向けられることはない。というのも、そのようなことをすれば、資本家の利益が減少するからである。過剰資本は、利益を拡大する方向に振り向けられる。それは、後進国に対する資本輸出を通じておこなわれる。これらの後進国では通常、利益率が高い。なぜなら、資本が少なく、土地が値ごろで、賃金が低く、原材料価格が安いからである。*1*2
金融資本は、文字どおり世界中の国々におのれの網を張りめぐらしている。 *3
安倍首相の2014年1月22日の世界経済フォーラムでの演説に示されるように、安倍政権は金融資本のための経済政策を遂行しています。
24日からの国会に、会社法改正を提案します。これで、社外取締役が増えます。来月中には、機関投資家に、コーポレート・ガバナンスへのより深い参画を容易にするため、スチュワードシップ・コードを策定します。
なので、「内部留保が動かない」のは当然なのです。
よく分からないのが、安倍政権がトレードオフの関係にある「賃金アップ・設備投資促進」と「株主利益の最大化」の両方を目標として掲げていることです。一体、
- トレードオフの関係にあることを理解していない。
- 真の目標は「株主利益の最大化」だが、それを国民に悟られないために「賃金アップ・設備投資促進」を叫んでいる。
のどちらなのでしょうか。