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夏眠中|I shall return.

麻生財務大臣の「デフレは人災」は歴史修正

麻生財務大臣がこのように述べたそうですが、

リフレ派の言う通りに量的・質的金融緩和を5年以上続けても目標の2%インフレに程遠いことは、リフレ派に「主犯」と決め付けられて罵詈雑言を浴びせられた日本銀行が実は「微罪か無罪」だったことを示しています。

さて、この処方箋は簡単だ。インフレ期待を起こせばいい。これほど簡単なことはない。日本銀行がお金をいっぱい刷り、これからも当分そうしますよ、といえばいい。いままでの日銀による金融緩和は、お金はとりあえず刷るけれどすぐやめますからね、と言い続けていたのでインフレ期待はまったく上がらなかったのだ。*1

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二度の消費税率引き上げや公共事業の大幅削減など、政府の対応がデフレ要因であったことは間違いありませんが、

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デフレの主犯は企業部門です。1990年代後半からの企業部門の「三つの過剰」解消が、経済全体に収縮圧力として作用したことがデフレの始まりです。

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企業のdeleveragingは2002~2003年頃にほぼ完了し、戦後最長の景気拡大が始まりますが、大企業が「利益率を高めるために賃金を抑制する」ようになったために、「賃金上昇→サービス価格上昇→総合物価上昇」のメカニズムが停止してしまいました。

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人間の価値(≒実質賃金)を引き下げた一連の「改革」こそ、多くの日本人にとっての「人災」でした。

日本は悪くない―悪いのはアメリカだ (文春文庫)

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昭和四十年代、卸売物価は安定しているのに、消費者物価ばかりが上がったことがあった。日銀は金融引き締めなどを検討していたが、下村さんは断言した。「上がっているのはサービス価格です。それだけ人間の価値が上がったのですから、心配いりません」

経営の行動指針―土光語録

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賃金を低く抑えようとする努力からは、会社の繁栄は生まれない

賃金が上がるということは、見方によれば、人の値うちが上がるということにほかならない。人価という言葉があるとすれば、これからは物価以上に人価の上がる時代なのだ。

下村も土光も、30年後に物価以上に人価が下がる時代が来るとは予測していなかったでしょう。

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「賃金を低く抑えようとする努力からは、日本の繁栄は生まれない」のは必然でしょう。

*1:山形浩生「亀井氏の正しい日銀批判」(『Voice』2010年1月号)