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クルーグマンとゲーテとマネーの裏付け

トランプ大統領からフェイクニュース大賞を贈られたクルーグマンが、政府が税として受け取ることがドルの価値を裏付けていると書いていますが、

Although the modern dollar is a “fiat” currency, not backed by any other asset, like gold, its value is ultimately backed by the fact that the U.S. government will accept it, in fact demands it, in payment for taxes.

Bitcoin, by contrast, has no intrinsic value at all. Combine that lack of a tether to reality ... *1

ドルの価値を裏付けるrealityとは、アメリカ政府の受取ではなく支払能力、つまり政府の徴税能力(とアメリカ経済の巨大な生産力)です。

www.reuters.com

Money is credit, not a commodity, so it is liable to sudden losses of confidence, leading to sharp losses of value. For a stable currency, someone has to be able to offer trustworthy support in a panic, and that someone is always a sovereign state which can collect taxes

Martin sees the current monetary arrangement as basically private credit with sovereign guarantees.

21世紀の貨幣論

21世紀の貨幣論

ゲーテは『ファウスト』第二部で「帝国領内に埋もれたる無量の宝」をintrinsic valueあるいはrealityとするペーパーマネーの発明を描いていますが、現代では「宝」の代わりに「財・サービスの生産力」になっているわけです。政府が発行するペーパーマネーに代わり、銀行が発行するブックマネー(book money)が主体になっていることも重要です。

Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 ファウスト FAUST. EINE TRAGODIE ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ


金が足りぬ。好いわ。金をこしらえい。[4926] 

メフィストフェレス

おいり用の物は拵えますとも、それより多分に拵えます。[4927]

造做もない。しかしその造做もない事がむずかしいのです。

現にそこにある。しかしそれを手に入れるのが

術で、誰がその術に手を著けましょう。 

尚書(緩かに歩み近づく。)

そんなら、あらゆる苦艱を歓楽に変えた、[6055]

この大切な文書をお聞下さい、御覧下さい。

(朗読。)

「凡そ知らむことを願うものには、悉く知らしめよ。

この一枚の紙幣は千クロオネンに通用す。

帝国領内に埋もれたる無量の宝を

これが担保となす。その宝は

直ちに発掘して、兌換の用に供すべき

準備整えり。」 

奇術を心得たものに申し附けて、[6072]

御慈愛が国中に行き渡るように、

わたくしどもが千万枚紙幣を刷らせました。

十、三十、五十、百クロオネンが別々に出来ました。

人民の喜はどんなだか、御想像が出来ますまい。

あの半死半生で、黴の生えたようであった

都を御覧なさい。皆生き上がって、楽んで

上を下へといたしています。 

難解と言われる『ファウスト』ですが、「ファルツの帝都[4728~5064]」と「遊苑[5987~6172]」は信用創造を描いていると分かればクリアに読み解けます。

なお、ファウストメフィストフェレスがやったことを現代日本でやるなら、国債発行→国庫金増加→財政支出→半死半生の日本経済が活気づく、となりますが、やってくれる政治家は誰もいないようです。*2

Freedom from National Debt

Freedom from National Debt

おまけ

5年間で1億円超の報酬を得た岩田副総裁の発言録

巨額の国債買い入れを続けても物価が2%に到達していない点について「マネタリーベース(資金供給量)を増やすだけで物価が上がるとは書いた、言った覚えはない」と説明。

「2%の物価安定目標をできるだけ早く達成することに日銀がコミットしている、という重要な柱がある。これを大前提にして量的・質的金融緩和でマネタリーベースを増加させていくことで、予想インフレ率が高まっていく」 

toyokeizai.net

日本銀行がデフレ脱却を目指す姿勢をハッキリと示すことが必要で、最も望ましいのが、インフレ目標を導入し、マネタリーベース(以下MB)である中央銀行当座預金と現金を増加させる政策を行うことだ。

過去の実例を見ると、MBの増加は、インフレ予想の引き上げに効果を発揮している。 

ブタ積みであっても、予想インフレ率が上昇するからだ。

totb.hatenablog.com

*1:強調は引用者、以下同。

*2:ファウスト』の世界では、帝国経済がディマンドプルインフレになるまで紙幣を発行できることは容易に理解できるでしょう。ならば、現代日本でもディマンドプルインフレになるまで国債発行→財政支出できるはずですが、なぜか与野党揃ってその逆の緊縮財政を目指しています。