Think outside the box

夏眠中|I shall return.

[紹介]過激化するリベラルの単純な世界観

日本では「ふともも写真の世界展」が中止に追い込まれたそうですが、

togetter.com

アメリカの大学ではSJWの学生たちによる言論弾圧が相次いでいます。

At this point, such incidents have become so routine that it’s tempting to wave them off.

その背景には、liberal/progressiveの非現実的な世界観があるとする二つの分析です。

Mistake theorists believe that the world is complicated and most of our troubles are caused by error and incompetence, not by malice or evil intent.

Mistake theorists also believe that most social problems are hard and that obvious perfect solutions are scarce. Debate is essential.

In the conflict theorist worldview, most public problems are caused not by errors or complexity, but by malice and oppression. […] The solutions to injustice and suffering are simple and obvious: Defeat the powerful. 

Both Sowell and Pinker contend that conservatives see an unfortunate world of moral trade-offs in which every moral judgment comes with costs that must be properly balanced. Progressives, on the other hand, seem to be blind to, or in denial about, these trade-offs, whether economic and social; theirs is a utopian or unconstrained vision, in which every moral grievance must be immediately extinguished until we have perfected society. […] The conservative hears the progressive’s latest demands and says, “I can see how you might come to that conclusion, but I think you’ve overlooked the following…” In contrast, the progressive hears the conservative and thinks, “I have no idea why you would believe that. You’re probably a racist.” *1

例えば、フェミニストは「女の社会進出」を叫びますが、それが同時に「女の家事・育児からの退出*2」であり、穴埋め要員*3が必要であることや労働供給の増加が賃下げ圧力として働くこと、さらには非婚化・少子化を招くことなどのコスト/トレードオフを無視しています。

このような世界観は、日本では「経済や生活の悪化は『改革』が足りないため」という「永続改革」を招いているように思われます。この世界観では、経済の大停滞について

  • 企業が将来の「人口減少→需要減少」を見越して設備投資を控えている
  • 資本コストの上昇が設備投資を抑制している
  • 経営のグローバル化が対外直接投資を促進している
  • プライマリーバランス黒字化目標のために「国債発行→財政出動」が不十分になっている

のように分析して対策を練るのではなく、「悪意の抵抗勢力が足を引っ張っている→強いリーダーシップによって抵抗勢力を妥当せよ」というストーリーが受け入れられます。走資派の打倒を目指した中国の文化大革命は10年で終わりましたが、日本は「終わりなき改革」です。(その成果⇩)

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ところで、David Brooksのこの指摘は、

Though America is plagued by racism, we all wanted more integration and less bigotry, a place where talent and character mattered more than skin color and prejudice.

イギリスの「教養があり、心が広く、知的な専門職についている」リベラルエリートが、パキスタン人差別や同性愛者差別は許さないが、労働者階級を「チャヴ」と平気で嘲笑することの説明になっています。

チャヴ 弱者を敵視する社会

チャヴ 弱者を敵視する社会

リベラルエリートは人種等の生物学的要因による差別を克服した代わりに、学歴や職業、所得などによってusとthemを区別するようになっただけなのですが、本人たちは「我々は全く差別していない」と信じて疑わないのです。違う国(の人々)との平等(横の平等)と国の内部での平等(縦の平等)は同時に達成できないトレードオフということです。*4*5

コストやトレードオフの観念を欠いたユートピア願望が先進国に共通する病のようです。(難民・移民が大量流入して多様化が進んだイタリア⇩)

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

*1:強調は引用者。

*2:サッカーでGKとDFがFWのポジションまで「進出」→ゴールはがら空きに

*3:誰がやるの?―移民でしょ

*4:リベラルの人間観では、人間には先天的な差はないので、すべては本人が選び取った結果→自己責任となります。

*5:「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」は「これからは階級にこだわる時代が復活します」を意味します。これが「日本を取り戻す」の真意かもしれません。