Think outside the box

夏眠中|I shall return.

岩田規久男の「歴史のif」

岩田規久男時事通信のインタビューにこのように答えています。

当初は円安や株高が進むなど効果がきちんと出ていた。物価も順調に上がり、そのままいけば14年夏ごろには2%は実現できていた。しかし同年4月の消費税増税でそのシナリオが崩れた。

消費者物価指数の生鮮食品及びエネルギーを除く総合(日銀版コアコアCPI)は2014年2月と3月に前年同月比+0.8%でしたが、それから半年で2%に達していたでしょうか。なぜピークが2015年11月だったのでしょうか。

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日銀当座預金を増やし続けたのに、なぜ2015年後半から円高に転じたのでしょうか(謎の反転?)。*1

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2013年3月20日の参議院議院運営委員会における発言(⇩)からは、岩田が「銀行は超過準備を種銭として信用創造する」と理解していたことが分かります。

日銀当座預金の付利を引き上げていく。そうすると、日銀当座預金に置いておいて、信用創造をするよりも日銀当座預金に置いておいた方がいいということで、信用創造が少し落ちてきます

…, excess central bank reserves are not a necessary precondition for a bank to grant credit (and thus create money).

銀行にとっては等価のリスクフリー資産である国債と超過準備を交換しているだけのことを「緩和」と呼ぶのは虚偽でしょう。

参考:他のリフレ派

消費税率が5%から8%になると金融政策の効力が失われるというのは意味不明です(⇩)。

山形浩生「亀井氏の正しい日銀批判」(『Voice』2010年1月号)⇩

さて、この処方箋は簡単だ。インフレ期待を起こせばいい。これほど簡単なことはない。日本銀行がお金をいっぱい刷り、これからも当分そうしますよ、といえばいい。

じゃあ、なぜインフレにならないのか? これについては諸説あるけれど、有力な説としては日本経済の潜在的な生産能力が思ったより高くて、経済回復とともに、これまで働いていなかった人も働き始めた、というのが大きいようだ。世の中、物価の大半は賃金だ。だから賃金がもっと大きく上がらないと明確なインフレにはならない。でも、労働者が増えるとその分だけ賃金の上がり方も遅くなって、インフレが起こりにくくなるようだ。

ケインズ (講談社学術文庫)

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現実的にいうならば、賃金率が下がるならば、今までに近い収入を得るためにもっと長時間働こうとする。

そうなると今まで働かなかった家族も、生活を維持するために、労働市場に供給者として現われるだろう。かくしてさらに賃金は下がる。

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totb.hatenablog.com

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*1:2012年11月~と2014年10月~の円安は、ファンダメンタルズの大きな変化の反映というより、外為市場の「祭り」というのが実態に近いでしょう。QQEには「円売り祭り」の経路でのインフレ率引き上げ効果があったことは認められますが、祭りは長くは続かないものです。