この(⇩)発言が批判されて撤回に追い込まれたそうですが、
「子供産まねば人様の税金で老人ホーム」自民・加藤寛氏:朝日新聞デジタル https://t.co/yBcwJxV0Ne
— 朝日新聞社会部 (@Asahi_Shakai) 2018年5月10日
結婚式で年配者が子孫と社会の繁栄を願って新郎新婦にこの(⇩)ように言うこと自体はおかしくないでしょう。
新郎新婦に3人以上の子供を産み育てていただきたいとお願いする。
そもそも、結婚の本質は男女が子育てのためにJVを結成することです。

人間性はどこから来たか―サル学からのアプローチ (学術選書)
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結婚の第一義的な意義が繁殖にあるのは自明である。
賦課方式の公的年金が典型ですが、子供がいない人は老後に他人の子供の世話になる、すなわち社会保障制度のフリーライダーになることも事実です。社会保障制度を維持するためにはフリーライド対策が欠かせません。*1
とは言え、現在の日本で問題なのは確信的なモラルハザードではなく、結婚できないために結果的にフリーライダーになってしまう人が増大していることです。*2
加藤議員を批判する人は、日本の低出生率の主因が「女の仕事と出産・育児の両立が難しい」ことだと考えているのかもしれませんが、これは誤りで、出生率低下の大部分は未婚率の上昇と結婚年齢の上昇で説明できます。そして、この二要因は高学歴化と女の社会進出によるものです。
出産に適した20代で産まなくなったために、高度成長期の前後に生まれたコーホートで出生率は約2.0から約1.4に低下しました。
人間は哺乳類なので子育ては基本的に女の役割ではあるものの、他の哺乳類のように女手一つでは子育てできないため、男(子の親)が女と子の面倒を見るように特殊な進化をしたと考えられています(一夫一妻制)。女には「子どもに食物を与え、世話をやく扶養者としての夫を捕まえてやろう」という本性がhard-wiredされているわけですが、これが現代社会では自分より稼ぐ/高スペックの男を求める上方婚になります。
多くの社会で、配偶者の選択の基準は男女で異なる。新夫に求められる資質は、「よき提供者」たることで、将来経済的・社会的に高いステータスにつくことが求められる。一方、新婦に求められる資質は、「よき繁殖者と働き手」である。

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人間は昔よりも大きな集団のなかで暮らしているが、その集団内で人間生活の要をなしているのは、男、妻、その子どもという核家族である。結婚とは子育ての制度なのだ。どこの社会であれ、たとえそれが食料の供給のみであっても、父親は少なくとも多少は子育てに加わる。
現代の女性の心の奥底にも、まったく同じ狩猟採集者の計算高さが潜んでいる。・・・・・・子どもに食物を与え、世話をやく扶養者としての夫を捕まえてやろう、あるいは子どもに一流の遺伝子を与えてくれる恋人を見つけてやろう。両者が同一人物であるとしたら、その女性はとても幸運だといえる。
ところが、ネオリベラルとリベラル、フェミニストが結託して女の社会進出と男の給与の引き下げを進めたために「よき提供者」たる男が減少し、結婚相手を見つけられない女が増えてしまいました。上野千鶴子はこの(⇩)ように主張していますが、既婚者ではなく未婚者であれば、年収300万円の男女は独身のままです。
上野千鶴子氏が語る「2020年女性管理職30%」の処方箋 https://t.co/gGxNfCRtkp pic.twitter.com/kF4LeCsz2i
— PRESIDENT Online (@Pre_Online) 2016年2月9日
世帯を養える賃金を男1人に払う家族給に支えられた 「男性稼ぎ主モデル」こそ、女性差別の根源なのですよ。
正規雇用者の給料を下げて、夫に600万円払っているのなら、夫に300万円、妻に300万円払うようにすれば、納税者も増えます。
「男女共同参画社会は、新自由主義的なベクトルとフェミニズムとの妥協の産物だ」というのは、100パーセント正しいと思います。
少子化はぜんぜんOKだと思います。

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ネオリベ改革がジェンダー平等政策を推進した理由はなんでしょうか?
答はかんたんです。女に働いてもらいたいから。
ネオリベ改革のくさびは、女性労働者を、エリートとマスのふたつに二極化する効果を持ちました。そして後者の労働条件が、かつてよりも悪くなっていったことは、90年代以降の状況を見てのとおりです。

いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃
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ナンシー・フレイザーによれば、アメリカの多くのフェミニストは、新自由主義的原理が女性を家父長制的規範から解放すると考え、新自由主義との共犯関係に陥った。フレイザーの批判は主として再分配の問題系にかかわるものであり、その中心的な論点は、家父長的な福祉国家制度の解体と雇用の規制緩和によって、一部の管理職女性は確かに恩恵を受けたが、女性非正規労働者が増加し、格差が拡大しているという点である。*3
Here's this week's cover: Alison Wolf on the new class war, Melissa Kite v. rural cycling, and Peter Oborne on Boston pic.twitter.com/HOP4ggGggt
— The Spectator (@spectator) 2013年4月24日
上野のようなフェミニストにとっては「安定した雇用と家族を養うことができる賃金、将来への見通しがある程度見通せる安心感」を破壊することこそ正義なので、格差拡大と少子化は成功の証なのです。*4*5
そうですね。安定した雇用と家族を養うことができる賃金。将来への見通しがある程度見通せる安心感。そういうものが損なわれてしまいました。これをどのようにして取り戻すか。これが少子化対策の大きな課題だと思います。 https://t.co/yrx9zy16ey
— あんどう裕(ひろし)衆議院議員 (@andouhiroshi) 2018年5月7日

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フェミニズムは死の文化です。フェミニズムのせいで女性は子どもをつくらなくなったわけですから。
子どもが生まれなければ、行き着くところは死しかありません。フェミニズムとは何か。女が男と同じように行動したがることです。ラディカルなフェミニズムが定着したあらゆる国で、女性たちが子どもを作らなくなったのは偶然ではありません。シモーヌ・ド・ボーヴォワールがまさしくそうです。

ボーヴォワールは語る―『第二の性』その後 (平凡社ライブラリー)
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私は幸運でした。私は出産や家事の義務など女性を隷属させるいろんなものをまぬがれていましたから。
最近になって、子どもを産むことは女性にとって厄介な罠だと思うようになりました。だから母親になるな、と女性に忠告したいのです。
1クラスに男21人と女20人がいるとします。自由に任せておくだけで18~19組のカップルが成立することがほとんどあり得ないことは誰でも想像できるでしょうが、このことは、「結婚するのが当たり前」という社会的圧力や、男に世帯を養えるだけの賃金が支払われなければ、非婚化と少子化が進んで社会が持続不能に陥ることを意味します。加藤議員を批判する人が忌み嫌う男女分業や社会的圧力がなければ、残念ながら少子化は止められないのです。*6*7
*1:社会保障制度は、人口再生産(人的投資)のリターンを老後に世代全員で分け合う仕組みです。なので、人口再生産(≒結婚・出産)を拒否するのであれば、老後の受給権は返上するのが筋です。
*2:当然ですが、不妊は「保険事故」なのでフリーライドにはなりません。
*3:訳者あとがきより。
*4:このことは、男女平等と称する社会のfeminizationの本質がネオリベラル化であることを意味します。中野剛志は『富国と強兵』で、新自由主義の急速な台頭と頑健さについて「なぜ」と問うていましたが、男女平等・ジェンダーフリーが新自由主義と表裏一体であることがその答えです。
*5:女が男よりも選り好みすることは、一夫一妻制が女に妥協を強いる制度であることを意味しますが、女をこの「抑圧」から解放すれば、人間社会の基盤である一夫一妻制が弱体化してしまいます。女性解放とはパンドラの箱を開けるようなものだったのでしょう。
*6:市場に任せると失敗する→割当(配給)が必要ということ。
*7:落合陽一は『日本再興戦略』で男女平等ではなく公平を主張しています。