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第3次ベビーブームが来なかった理由

人口統計を理解していない記者が書いた記事ですが、面白い内容を含んでいるので取り上げます。ここでの「出生率」は合計出生率(Total fertility rate)のことです。

日本の出生率は、終戦直後に4を超え、第1次ベビーブーム(1947~49年)が起きたが、その後は低下。61年には2を下回った。第1次ブームの世代が出産適齢期を迎えた71~74年には第2次ブームが来て、一時は2を上回るまで持ち直したが、再び低下に転じた。

第1次ベビーブームが短期間で終わった主因は1948年の人工妊娠中絶合法化です。出生と人工妊娠中絶の合計はベビーブーム後も高水準を維持し続け、減少に転じたのは石油危機後です。

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第2次ブームには高出生率も寄与したように読めますが、実際には出生率は上昇していませんでした。

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第3次ブームが来なかった原因が景気悪化・収縮氷河期にあるように書いていますが、20代前半の出生率は1970年代半ばから、20代後半は1980年代半ばから景気動向とは無関係に低下しています。

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出生数の減少はそれ以前からのトレンドが続いているだけであり、「デフレ不況を回避していれば第3次ベビーブームが起こっていたはず」というのは誤りということです。

各世代の女が平均何人出産したかを示すコーホート出生率からは、昭和30年以前に生まれた世代(2.0)と昭和50年以降に生まれた世代(1.4)の間にライフコースの構造的変化が生じたことが見て取れます。

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女の社会進出が非婚化・晩婚化・出生率低下を引き起こしたことは明らかです。

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女の社会進出の帰結が

  • 女は男の仕事を代替できるが男は女の出産を代替できない→労働力人口にはプラスだが出生にはマイナスに働く
  • 女にはhard-wiredされた上方婚志向がある→結婚相手に要求する経済力のハードルが上がる→足切りされる男が増える→未婚率上昇

となることはほぼ不可避です。

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ケミストリーオブラブ―恋愛と脳のメカニズム

ケミストリーオブラブ―恋愛と脳のメカニズム

私の思うに、今日みられる事態は、伝統的な男女役割分担の少々のずれであり、それが人間関係に新しい緊張をもたらしつつある。すなわち、もし女性が今日まで男性がやっている職業志向の生活を追求するなら、何かを棄てないかぎり、誰が家事と育児をすることになろうか?

一部の人が選ぶ道は子どもをつくらないことである。もう一つの道は、金持ちならばだが、手伝いを雇うことである。*1(ある既婚の女医は、しばしばおそくまでかかる仕事と、息子を学校が終ったら迎えにゆかなければならないこととの板ばさみになり、途方にくれた時に「私には妻が必要だ」と叫んだ)。第三の道は、夫と妻が家事をもっと平等に分担することだが、これは結局は、男性が職業生活の遂行を求めかつ求められる仕方の、社会的修正を必要とするだろう。*2

「出会いが限られていて、合コンに行くヒマもなくて。誰かいないか、友達に聞いてまわっています。もう、贅沢は言いません。同年代で同じくらい稼げる人がいい」

と言っても彼女の年収は1千万円超。同年代で1千万円以上を稼ぐ男性はそういない。 

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根本原因が女の社会進出なので、「育児休業保育所の充実、児童手当の増額」は少子化対策にはなりません。

平成が始まった89年は「1.57ショック」と言われた。出生率がそれまでの最低だった66年(1.58)を下回ったからだ。厚生労働省児童家庭局長だった古川貞次郎氏は危機感を抱き、当時の海部俊樹首相の演説に「少子化対策」をねじ込み、検討を促した。

育児休業保育所の充実、児童手当の増額――。数値が発表された翌91年にまとめられた答申には、今も課題とされるほとんどが網羅されていたが、政府は本腰で実行しなかった。

面白いのは、現代では典型的リベラルに分類されるpro-choiceの女性解放運動家(社会党)・加藤シヅエがこのように言っていたことです。

「局長さん、あまり心配しなさんな。また子どもは増えますから

古川氏は、女性運動を引っ張ってきた加藤シヅエさんに、こうたしなめられたことを覚えている。

リベラルは、社会のリベラル化が少子化の根本原因であることを理解できないようです。*3

totb.hatenablog.com

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参考

2017年のTFRは日本1.43、シンガポール1.16、香港1.126、台湾1.125、韓国1.05

*1:[引用者注]後進国から出稼ぎに来たメイドは金持ちでなくても雇えます。女の社会進出は後進国からの外国人労働者の移入を招くわけです。

*2:強調は引用者、以下同。

*3:素人目には効果がある政策が逆効果になる意味で、リベラル化は大躍進政策のようなものと言えます。