Think outside the box

夏眠中|I shall return.

子育て支援が手厚いフィンランドの出生率低下

日本の出生率が低い責任は子育て支援に消極的な政府にある、と批判する記事で、日本と対比されている国の一つがフィンランドです。

子持ち夫婦のほうが幸福度の高い国はポルトガルハンガリー、スペイン、ノルウェースウェーデンフィンランド、フランス、ロシアだ。これらの国には「育児・子どものための政策が充実しているという」共通点がある。

日本も幸福度の高い国と比べると、育児・子育ての支援は薄い。日本の予算はGDPの1.34%しかない。

しかし、2017年のフィンランドの合計出生率は過去最低に落ち込み、日本と大差なくなっています。 

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出生数は1850年以降で、大飢饉の1868年に次いで少なくなっています。しかも、2016年の出生数の12.7%は外国バックグラウンドの母親によるものです。*1

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「男女平等や女の労働力化が出生率を高める」という主張の信頼性が揺らいでいます。

He said that it is difficult to raise nativity levels through the use of state-funded benefits or bonuses.

"The decision to start a family is made by people and there are not many ways to affect their decisions [in that regard], so we have to create a society in which people will want to bring children," he said. *2

The researcher pointed out that the organisation’s 2015 family barometer revealed a first-time increase in the number of Finnish residents who don’t want any children at all or want no more than one child.

"This is especially the case among men, low income earners and city dwellers."

"The discussion has revolved around gender equality and the employment of women, with the issue of natality sent to the background," she said. What Finland really needs is a political program that treasures the family and increases the value of parenthood, the economist argued. 

女の2割、男の3割が生涯無子に。

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こちらのデンマークの専門家の分析が本質を突いています。*3

デンマークでは、最終的に大学を卒業して社会に出るのは29歳頃になります。この「モラトリアム期間」があるため、新人教育なしで、即戦力として企業で仕事ができるという半面、婚期が遅れるという問題点も指摘されています。ここ20年くらいデンマークの大学進学率は女性が男性を上回っています(男性が40%女性が60%)。優秀な女性が自分以上の男性を探すため、ミスマッチが起こり、晩婚化がますます進んだようです。この女性の経済的自立も離婚率をあげた原因だろうとのことでした。「女性の地位向上、男女平等が進むと少子化が進むのです」とおっしゃったのが印象的でした。

I asked, “Why a woman from Asia, it is so far away and then there are so many women in Denmark?” He replied, “Look, I am a bus driver, women these days are highly educated and no one wants to marry an uneducated bus driver. Not even a handsome one like me. Time and years are flying by and I want a family.”

エリート女の泣きどころは、エリート男しか愛せないってこと(笑)。男性評論家はよく、エリート女は家事労働してくれるハウスハスバンドを選べなんて簡単に言うけど、現実的じゃない。

女の労働力化とワーキングマザーのサポートが進んだアジアの国と言えばシンガポールですが、

政府が成長戦略として「女性の活躍」を謳う日本だが、女性が活躍できる土壌そのものはまだ整っていない。それに対してアジアにおけるグローバルの象徴とも言えるシンガポールでは、女性が仕事で活躍できる土壌がカンペキに整っている。

シンガポール政府は、どのような税制優遇措置でワーキングマザーをサポートしているのか。主なものを紹介しよう。

(1)産後にワーキングマザーになると、旦那さんも税金控除をGet!

(2)ワーキングマザーは、子ども1人目は15%、2人目は20%、3人目以降は25%の課税所得控除をGet!

(3)子ども1~2人目で6000ドル、3~4人目で8000ドルのベビーボーナスをGet!

(4)ワーキングマザーが親に子どもを預けると、税額控除Get!

(5)ワーキングマザーが住み込みヘルパーを雇うと、メイド税の2倍相当の控除をGet!

(6)子どもを保育園に入れるときも、市民権か永住権を持ち、共働きをしている場合は、政府から保育料の補助をGet!

などなど……。 

出生率は日本を下回っています。

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女の上方婚志向も明確で、デンマークと同様のミスマッチが生じています。

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働くことを奨励した結果、交際や結婚が二の次になってしまった男女が増えてしまったことが出生率を低下させています。

www.straitstimes.com

フィンランドシンガポールから得られる教訓は、政府の種々の支援策は出生率引上げには効果薄であり、それよりも、結婚して家庭を築き、子供を育てることを重視する価値観が重要ということです。*4

日本の低出生率は、この価値観が薄れたことに加えて、男の雇用環境の悪化によるものです。

Japan’s birth rate may be falling because there are fewer good opportunities for young people, and especially men, in the country’s economy. In a country where men are still widely expected to be breadwinners and support families, a lack of good jobs may be creating a class of men who don’t marry and have children because they—and their potential partners—know they can’t afford to.

それを仕掛けたのはネオリベラルとフェミニストです。

正規雇用者の給料を下げて、夫に600万円払っているのなら、夫に300万円、妻に300万円払うようにすれば、納税者も増えます。 

ネオリベ改革がジェンダー平等政策を推進した理由はなんでしょうか?

答はかんたんです。女に働いてもらいたいから。 

バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?

バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?

男女共同参画社会は、新自由主義的なベクトルとフェミニズムとの妥協の産物だ」というのは、100パーセント正しいと思います。

彼ら=恋愛弱者・性的弱者の男

彼らが間違って子どもをつくったらたいへんです。子どもって、コントロールできないノイズだから。ノイズ嫌いの親のもとに生まれてきた子どもにとっては受難ですよ。そう考えてみると、少子化はぜんぜんOKだと思います。

フェミニズムは弱者を邪魔者扱いして足蹴にする思想であり、ネオリベラリズムの一派であることがよく分かります。

何でフェミニズムが、彼らの不安のケアをしなければならないのですか? 女にケアを求めるのは筋ちがいでしょう。そういう人たちがフェミニズムの妨げになるかもしれないので、降りかかる火の粉は振り払い、じゃまなものは足蹴にしなくてはならないから、対策は必要だとは思いますよ。私は社会工学的で管理主義的な発想を持たないので、彼らをケアする、つまり慰撫したり統制したりしようとは思いません。自分のケアは自分でする、これがフェミニズム自己解放の思想の基本のきです。 

女を「輝かせる」→男の賃金水準を下げる→女の要求水準を下回る男が増える→非婚化→少子化となったわけですが、ネオリベラルにとってはそれほど問題ではありません。先住民=日本人が減ったら、後進国から外国人を「奴隷」として移入すればよいからです。これが安倍首相の「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」が意味するところです。

新書アフリカ史 (講談社現代新書)

新書アフリカ史 (講談社現代新書)

先住民労働力が枯渇し始めると、新世界の外から労働力を移入する必要が生じた。解決の道はたった一つ、大西洋の彼方アフリカから奴隷を運ぶことだった。奴隷は現地で再生産する(つまり、女奴隷に子供を産み育てさせる)よりも、アフリカから運ぶ方がはるかに安くついたのである。

日本を外国人のホームグラウンドに一変させることが、グローバル資本の代理人の安倍首相に与えられた使命です。*5

日本を、能力あふれる外国人の皆さんがもっと活躍しやすい場所にしなければなりません。

「あたかもリセットボタンを押したように、日本を一変させる。」、130日程前、私はこう申し上げました。もうお分かりでしょう。明らかに日本は生まれ変わりつつあります。そして、これからも変わり続けます。*6

toyokeizai.net

エリートは人々の生活水準に関心を持とうとしません。現在の民主主義は、ウルトラ・リベラルな民主主義であり、エリートが人々の生活水準の低下をもたらしているように見えます。

フィンランドに話を戻すと、元々のフィンランド人の人口は既に減少に転じており、

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人口の7%が外国バックグラウンドです。

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外国語話者も人口の7%で、多い順にロシア語、エストニア語、アラビア語、ソマリ語、英語となっています。

日本にも「真の日本人党」が登場する日が来るでしょうか。

真のフィンランド人 - Wikipedia

フランスについては下の記事を。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

*1:2000年は4.2%

*2:強調は引用者、以下同。

*3:これは杉田水脈の意見ではないので、念のため。

*4:事実婚を含む。

*5:この言葉からも分かるように、安倍首相は保守・極右とは対極のウルトラ・リベラルです。

*6:2014年6月2日